2025-08-08 コメント: 1件 ▼
「コメは足りている」は誤りだった 農水省が自民党に謝罪 価格高騰招いた判断ミスの責任
農水省「コメは足りている」発言を撤回し謝罪
農林水産省の渡辺毅事務次官は8月8日、自民党農林部会の会合で、これまで繰り返してきた「コメは足りている」との説明が誤りだったことを正式に認め、謝罪した。需要の拡大を見誤ったことで流通に支障が生じ、価格高騰の一因となったことを事実上認めた形だ。
これは、昨夏に全国のスーパーからコメが姿を消した「令和の米騒動」とも言われる事態を受け、繰り返されてきた農水省の対応に対して、与党内からも批判が高まっていたなかでの発言。農水省は当初、「コメの在庫は十分」「流通の問題」として政府備蓄米の放出を見送るなど、対策を後手に回した責任が問われていた。
「足りてるって言い張ってたのに、やっぱ足りてなかったんかい」
「こういうの、後で謝って済む話じゃないよね」
「値上げもそうだけど、現場の声全然聞いてなかったってこと?」
「“コメは足りてる”って言われて買い控えたのに損した気分」
「結局、農家も消費者も被害者で、誰も責任取らない」
「令和の米騒動」発生も農水省は“在庫論”に固執
昨年夏、都市部を中心にスーパーの棚からコメが消え、SNSなどで「米がない」「買い占め?」といった不安の声が相次いだ。だが農水省は当時、「需給は安定している」「在庫も十分」と説明し、事態を軽視していた。
その背景には、紙上の統計と現場の実感とのギャップがある。在庫はあっても、それが適切に市場へ供給されなければ意味がない。実際には物流網の乱れや、外食産業の回復による需要の急増などが重なり、価格は急騰。店頭では1kgあたり100円以上高くなる事例も報告された。
にもかかわらず、農水省は「備蓄米の放出は不要」との立場を取り続け、対応が大幅に遅れた。今回の謝罪は、その判断が「誤りだった」と正式に認めた初の機会となる。
「説明責任果たせ」自民党内からも批判
会合に出席した宮下一郎元農相は、「われわれの認識が(実態と)大きく違うということが報告された」と述べ、農水省に対して一層の説明を求める姿勢を示した。与党内からも、「現場の声を軽視していたのでは」「組織としての感度が鈍すぎる」との声が上がっており、農水省の情報把握体制や判断プロセスに対する抜本的な見直しが求められている。
また、業界関係者からも「農家は収穫の目処が立っていながら、価格の先行き不透明で売り控えるしかなかった」「消費者は急な値上げに対応できず混乱した」といった不満が噴出しており、信頼回復は容易ではない。
問われる「食の安全保障」 現場感覚との乖離が再燃
今回の問題は、単なるコメの流通トラブルではなく、「食の安全保障」に対する政府の姿勢を改めて問うものでもある。自国民の主食が逼迫するような状況に陥ったにも関わらず、政府が迅速な対応を取れなかったことは、食料政策そのものへの不信感を招いている。
近年、異常気象や国際的な物流混乱、戦争リスクなどが食料供給の不安定要因となっており、日本でも輸入小麦や肥料の高騰などが生活を直撃している中、国産米の安定供給はより一層重要になっている。
農水省は今後、米の需給把握の精度向上や、備蓄米の迅速な放出体制の確立など、実効的な政策転換を迫られるだろう。机上の理屈ではなく、現場の実情に寄り添った対応が、これまで以上に求められている。