2025-04-20 コメント投稿する ▼
農家消滅の危機を乗り越えるには?小農学会が市民公開講座で農業の未来を議論
小農学会、市民公開講座で農業の未来を討議
小農学会は2025年4月20日、福岡大学で市民公開講座「もうすぐ農家がいなくなる!あなたはどうする?」を開催した。約150人が参加し、日本の農業が直面する課題とその解決策について議論を交わした。この講座は、3月30日に全国14カ所で同時開催された「令和の百姓一揆」と連動しており、農業の現状と未来に関心を持つ市民や農業関係者が集まった。
講座の冒頭で挨拶に立った世話人の徳野貞雄氏(熊本大学名誉教授)は、「食と農の問題に対する危機感を共有し、専門家に任せきりにせず、私たち自身で考え行動することが重要だ」と強調した。また、農耕が始まって以来、人々は家族や地域との関係を築きながら社会を形成してきたと述べ、「農業の変化は社会全体に影響を及ぼす」と指摘した。
第一部では、熊本県の産山村で地域循環型畜産に取り組む家族を描いたドキュメンタリー映画『村で生きる』が上映された。映画では、草原を守りながら「あか牛」を育てる家族の姿を通じて、家族経営農業の厳しさと豊かさが描かれ、参加者は感銘を受けた。上映後、徳野氏は「農業は単なる食料生産にとどまらず、家族や地域、自然とのつながりそのものである」とコメントした。
第二部では、NPO法人田縁プロジェクトの川口進氏が「令和の米騒動から探る未来」と題し、コメの価格高騰や農業の現状について解説。川口氏は「コメの価格が高騰しているように見えるが、過去の物価上昇に比べれば、農産物の価格は相対的に安いままだ」とし、農家の減少が深刻な問題であると強調した。
会場では農家の現場からの報告も行われた。福岡県朝倉市で農業を営む近藤和幸氏は、農業機械の高額な維持費や獣害の増加、機械の買い替え負担が経営を圧迫していると語った。一方、中山間地域の糸島市では、イノシシの被害や高齢化により農業の維持が難しくなっている現状が報告された。
講座の最後には、参加者との意見交換が行われた。都市部から参加した男性は「大規模化やスマート農業の推進だけでなく、中山間地域や小規模農家への支援が必要だ」と指摘。また、地域の農地を守るために都市住民と農家が連携する「かかりつけ農家」という考え方も提案された。これは農家が消費者の健康を支え、消費者が農家の生活を支援する関係を築くことで、持続可能な農業を実現しようというものだ。
ネット上では、この講座に対する様々な反応が寄せられた。
「農業の現状を知ることができて良かった。もっと多くの人に知ってほしい。」
「都市農業の可能性に気づかされた。自分も何かできることを考えたい。」
「中山間地域の農業を守るため、地域全体で取り組む必要がある。」
「農業者と消費者が連携することで、持続可能な農業が実現できると思う。」
「農業の未来について考える良い機会だった。今後もこのような講座を続けてほしい。」
今回の講座を通じて明らかになったのは、日本の農業が直面する課題が単なる生産効率の問題ではなく、地域社会の維持や食料自給の確保という本質的な問題であるということだ。消費者が農業の現場を理解し、農家と連携することで、新たな未来への道が開けるかもしれない。