2025-04-22 コメント投稿する ▼
「備蓄米を出しても米価が下がらない」江藤農水相が謝罪 価格高騰の背景に流通の壁
備蓄米を出しても米価下がらず 農水相が異例の謝罪
コメの価格が下がらない――。そんな国民の声に、農林水産大臣が頭を下げた。江藤拓農林水産相は4月22日の記者会見で、コメ価格の高止まりが続いていることについて、「備蓄米を放出しても店頭価格が下がらない。責任を重く受け止めている。本当に申し訳ない」と謝罪した。
「備蓄米を出しても…」政府の対策空回り
政府は物価高に対応するため、3月から政府備蓄米の放出を始めた。これまでに計21万トンを市場に流し、さらに4月23日からは追加で10万トンを入札にかける予定だ。7月の端境期(収穫と収穫の合間)まで、毎月のように放出を続ける方針で、「なんとか価格を抑えたい」との思いがにじむ。
しかし結果は思わしくない。農水省が21日に発表したデータによると、全国のスーパー約1,000店舗で販売されたコメ(5キロ)の平均価格は税込4,217円。前週より3円上がり、なんと15週連続の値上がりとなった。
なぜ米価は下がらないのか
コメは放出されている。にもかかわらず、価格が下がらない。なぜか。背景には流通の“目詰まり”があるとされている。
放出された備蓄米はまず、JA(農協)などの集荷業者を通じて市場に出回るが、彼らが価格の下落を懸念して、通常流通させるコメの出荷を抑えるなどの動きが出ている。つまり、備蓄米を出しても、そのぶん通常のコメが市場に出てこなければ、全体の供給量は増えず、価格が下がる効果は薄れる。
ある米卸業者は「放出米が地方の小規模店にはなかなか回ってこない」と明かし、都市部や大型店舗に偏っている可能性も指摘している。
政府の見通しは甘かった?
政府側の認識にもズレがあったとの声もある。農水省は「供給が不足しているわけではない」と繰り返しているが、現場の実感とは乖離している。特に昨年は猛暑による不作もあり、価格はじわじわと上昇。これにエネルギー価格の高騰や物流費の上昇が拍車をかけた。
さらに、コメの値上がりは生活必需品であるだけに、家計への影響が大きい。「米の価格が上がると、家計の感覚的な物価高も強まる」と専門家は話す。
今後どうするのか
政府は引き続き備蓄米の放出を続ける方針だが、それだけで事態が改善するかは疑問が残る。根本的な解決には、流通経路の見直しやJAへの働きかけ、そして市場価格が本当に消費者に届いているかの検証が欠かせない。
謝罪した江藤農水相の表情には、苦悩と焦りがにじんでいた。政府が掲げる「生活支援策」が、現実の暮らしにどう反映されていくのか。その真価が問われている。