2025-04-18 コメント投稿する ▼
コメ5キロ5000円時代が再来か 備蓄米不足、農水省の対応に不信広がる
コメ5キロ5000円時代、再び目前に 沖縄はすでに突破 止まらぬ高騰と農水省への不信
「またお米が高くなってる」――そんな声が、いま各地のスーパーで広がっている。農林水産省が4月14日に発表した最新データによると、スーパーでのコメ5キロの平均価格は4214円。去年3月末の2057円から、実に倍の水準にまで跳ね上がった。
価格上昇が顕著になったのは昨年夏から。今年1月には3500円を超え、そして今や「5000円超え」も現実味を帯びてきた。事実、沖縄・那覇市では2月時点でコシヒカリ5キロが5027円を記録している。全国的な価格高騰に加え、離島特有の輸送コストも追い打ちをかけた格好だ。
首都圏も他人事ではない
都市部でも深刻だ。2月時点で全国平均が3829円だった中、東京のスーパーではすでに4500円台が当たり前に。ブランド米に至っては5000円を超えるケースも少なくないという。3月に一時価格が落ち着いたかに見えたが、月末には逆に再上昇。4月には再び高値圏に突入している。
ある記者はこう話す。「もう一度5000円台に戻るのではないかという声は、卸業者の間でもよく聞きます。実際に、卸が『納品量が減る』と事前に通告しているケースもあり、スーパーの棚にお米が並ばない日も出てきました」
SNSでも「お米売り場が空っぽ」「コメがない」といった投稿が相次いでいる。高くなったという以前に、「買いたくても買えない」という事態が発生している。
備蓄米はどこへ?
政府は昨年から備蓄米を2度放出したが、肝心の価格は下がるどころか上がる一方。3月には「7月まで毎月放出する」と発表したが、肝心の店頭ではその姿が見えない。西日本では複数原料米として販売されたケースがあったが、首都圏では「売られていない」という声が多い。
農水省はこの流通の偏りを認めつつ、江藤拓農水相は「価格を下げるための放出ではない」と説明。4月の会見でも「農水省は価格に関与しない」と言い切った。
しかし、こうした政府のスタンスに、消費者の怒りと困惑が募っている。
「トイレットペーパーと同じ」は妥当か?
物議を醸したのが、4月1日の江藤農水相の発言だ。備蓄米の放出に触れ、「トイレットペーパーの買い占め騒動と同じ」と例えた。1973年のオイルショック時、誤情報により日本中が買い占めに走った事件になぞらえ、「今回のコメ高騰も、不安感が先行しているだけ」と暗に示したのだ。
しかし、都心部では本当に「コメがない」店も増えており、単なる不安感では片づけられない現実がある。
「農水省は『収穫量は昨年より18万トン多い』とアピールしていますが、猛暑の影響で一等米が減り、実質的には不作だったという声もあります。しかも、価格が上がり始めた昨夏に動かなかったことが、今の事態を招いている」と農業関係者は批判する。
「転売ヤー」より深刻な構造問題
江藤農水相は「知らない言葉の人が高千穂の店に来て、お米を全部買っていった」など、“転売ヤー”の存在を強調するが、これも的を射ているとは言い難い。専門家は「転売ヤーがいたとしても、全国の価格に影響を与えるほどの数ではない」と指摘する。
むしろ影響が大きいのは、大量にコメを仕入れる観光地や外食産業、さらには輸出や訪日観光客の消費だという。
構造的な失策、繰り返すな
問題は価格調整に関わる政府の“中途半端な関与”だ。備蓄米を「価格安定のために放出する」と言いつつ、「価格には関与しない」と矛盾する姿勢。しかも、放出方法は「高値落札」方式で、実質的に価格の下落を妨げているとの見方もある。落札するのは多くがJA(農協)で、「価格維持が目的ではないか」との批判もある。
次の危機は“夏”か
仮に今後、備蓄米の流通が改善され、店頭で安価なブレンド米(5キロ3380円など)が出回ったとしても、安心するにはまだ早い。次なる危機は「夏」だ。
夏は旧米と新米の端境期で、流通量が絞られる。昨年の価格高騰も、ちょうどこの時期に始まった。今年はすでに多くの業者が秋の新米を先行買いしていることから、市場に出回る量が減り、再び深刻な不足と高騰が起きる可能性がある。
“ミニマムアクセス米”活用案に農家は反発
財務省は15日、政府が輸入するミニマムアクセス米を価格調整に活用する案を打ち出した。これに農家団体は猛反発しているが、消費者からは「輸入米の関税をゼロにして、もっと安いコメを売ってほしい」と切実な声も上がっている。
物価高と増税で家計が苦しい中、主食のコメすら満足に買えないような事態を、果たしてこのまま放置してよいのか。政府の責任ある対応が、いま強く求められている。