2025-10-23 コメント投稿する ▼
小林鷹之政調会長が造船業再生へ基金設置を提言 「国のコミットメント」が問われる
併せて、日本造船工業会側からは、民間で約3500億円の設備投資の意向が示されており、造船業再生に向けた官民の動きが鮮明になってきている。 政府目標としては、「2035年までに建造量を現在の水準から倍増させる」という数字が掲げられており、産業競争力強化・地域雇用創出・海洋・防衛インフラの確保という複数の目的が重なっている。
「国のコミットメントを」 造船業再生で浮上した“実行力”の試金石
2035年倍増目標とともに、基金創設を訴える 小林鷹之政調会長
自由民主党(自民党)の小林鷹之・政務調査会長は23日、党内会議にて、国内造船の建造量を2035年までに倍増させる政府目標を巡り、「基金を設置すべきだ」「国の大胆なコミットメントが必要だ」と述べた。併せて、日本造船工業会側からは、民間で約3500億円の設備投資の意向が示されており、造船業再生に向けた官民の動きが鮮明になってきている。
この動きは、単なる産業振興政策にとどまらず、グローバルな海運・安全保障・エネルギーインフラの観点からも「造船業を国家の基盤産業と位置づける」ことを意味しており、政策実行力が問われる局面だ。
造船業の構造的課題と“倍増”という目標
国内造船業界は長年、受注競争の激化、海外低コスト勢との価格競争、設備老朽化やドック(造船所の船台)稼働率の低迷などの構造的な課題を抱えてきた。会合に参加した日本造船工業会の檜垣幸人会長(今治造船社長)は、「大型つり上げクレーン導入など設備投資が不可欠」と述べ、今回の3500億円の投資意向とあわせて、ドック回転率を引き上げる設計を示している。
政府目標としては、「2035年までに建造量を現在の水準から倍増させる」という数字が掲げられており、産業競争力強化・地域雇用創出・海洋・防衛インフラの確保という複数の目的が重なっている。
つまり、政策として“量”と“質”と“国家的意義”の三拍子を求められており、ハードルは高い。
「基金設置」とは何か――実効性を問う
小林会長が言う「基金の設置」「国のコミットメント」というのは、単なるスローガンではない。政府・与党内で話されているのは、造船業再生に向けて政府が一定の資金支援・リスク共有を行う枠組みを作るということである。民間側の3500億円投資意向を呼び水に、政府として数千億円規模の枠を創設し、官民で大型設備投資を推進する構想が浮上している。
だが、記者として断言する。“基金設置”という言葉だけでは実行力は担保されない。財源の確保、運用ルール、監査・成果管理、産業構造転換を見据えた設計が伴っていなければ、また「絵に描いた餅」で終わる可能性が高い。過去、同種の産業振興策が“有名無実”に終わった前例も少なくない。
特に、今回のように「安全保障」「産業競争力」「地域雇用」「エネルギーインフラ」という多目的要件が絡むテーマでは、腹を据えた財政支出と長期的視野が不可欠だ。敢えて言えば、減税や支給型給付とは違い、「造船業再生」は構造改革とセットでなければ意味が薄い。
課題:税制・雇用・外国人材・地域との整合性
この政策を実行するにあたり、少なくとも次の課題が浮上する。まず、設備投資を伴う大型プロジェクトには長期間の回収計画が求められ、税制優遇や資金面の支援が不可欠だ。政府が設立を打ち出す基金がどこまで税制支援とセットになるかが注目される。
次に、造船業界は熟練工・技能継承が慢性的な課題だ。設備が新しくなっても人材が育っていなければ競争力強化にはつながらない。ここで外国人労働者を当てにすることには慎重な姿勢が必要であり、法文化順守と技能実習のあり方についても設計を怠れない。
さらに地域との整合性だ。造船所は沿岸地域に集中しており、建設・整備・操業による環境負荷や地域インフラへの影響も無視できない。また、海運・防衛産業との結び付きが強まるならば、地域住民との説明責任・透明性も高めなければならない。
筆者として強く指摘したいのは、産業を守る=雇用を守るという姿勢は賛成だが、伴うルール整備を怠ったら支援が“既得権益延命”に転化しかねないという点だ。政権がこの政策を“政治的ポピュリズム”として流すのではなく、構造的実行策として捉えるべきだ。
今求められるは“約束から実行へ”
小林鷹之政調会長の言葉「国の大胆なコミットメント」という表現は、これまでの造船振興政策とは一線を画す可能性を示している。だが、記者として言えば、言葉だけでは足りない。数字・期限・ルール・監査が伴って初めて国のコミットメントと言える。
造船業再生という大きなテーマを掲げるならば、まずは基金制度の具体設計、公的資金の枠・運用ルール・成果指標を明示することが不可欠だ。さらに、税制面・雇用戦略・地域説明責任・産業の質的向上も、同時に手を打たなければ“量の倍増”は空約束に終わる。
読者に言いたい。政策を評価するならば、「掲げる目標」より「実行体制」を見よ。今回、造船業界・政権与党が示した動きは確かに前進の兆しだが、これからが正念場だ。国益・産業・地域・雇用を守るためには、責任を明確にし、実行を確約できる制度として落とし込むことが必須だと私は強く考える。
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