2025-10-16 コメント投稿する ▼
ガソリン税暫定税率廃止、自民・小林政調会長が11月決断表明 50年続く上乗せ税に終止符か
ガソリン税の暫定税率廃止をめぐり、自民党の小林政調会長氏が具体的な決断時期を示しました。 与野党は暫定税率の年内廃止で一致していますが、代替財源の確保をめぐる議論は難航しています。
ガソリン税の暫定税率は1リットルあたり25.1円です。本来のガソリン税は28.7円ですが、1974年に道路整備の財源として上乗せされた暫定税率が50年以上続いています。現在のガソリン税は合計で1リットルあたり53.8円となり、消費者の大きな負担となっています。
11月決定を目指す背景
小林政調会長氏は11月中のできるだけ早いタイミングで答えを出さないと、年内に国民が実感できないと述べました。与野党は暫定税率の年内廃止で合意しており、国民にガソリンや軽油が安くなったという実感を少しでも早く届けられるよう動いていきたいと語っています。
「11月に決まらないと、また先延ばしになるだけだ」
「50年も暫定のままとか、いい加減にしてほしい」
野党は2025年8月1日に11月1日からの廃止を求める法案を衆議院に提出しました。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党など8党が共同提出したこの法案では、現在の1リットルあたり10円の補助金を段階的に25.1円まで引き上げた上で、11月1日に暫定税率廃止と補助金終了を同時に行う仕組みを提案しています。
与野党は7月30日に年内のできるだけ早い時期に廃止することで合意しました。自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党の6党が合意文書を交わし、財源の確保、流通への影響、地方財政への配慮などを課題として挙げています。
物価高で苦しんでるのに、税金だけは減らないなんておかしい
代替財源めぐり難航
暫定税率を廃止すれば、国と地方の税収は年間約1兆5000億円減ると見込まれています。このうち国は約1兆円、地方は約5000億円の税収減となります。与党は代替財源の確保を廃止の前提としていますが、野党は代替財源を必ずしも前提としない立場です。
財務省幹部は「道路や水道管など増大するインフラ整備の費用をどう確保するか。脱炭素の姿勢をどうするのか。もっと大きな議論が必要なのに、入り口でつかえてしまっている」とため息をついています。
税金安くなるのは嬉しいけど、道路の補修とかできなくなるのは困る
与野党の実務者協議は8月1日から始まりましたが、9月5日の5回目の協議でも財源をどうするかについて溝は埋まっていません。参議院選挙で与党が参議院でも過半数を失ったため、野党の要求を無視できない状況になっています。
暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格は理論上1リットルあたり約27円安くなります。現在の全国平均価格が約174円とすると、147円程度になる計算です。ただし、現在支給されている10円の補助金が終了すると、実際の値下げ幅は約15円程度になるとみられています。
参院選で示された民意と政治判断
2025年7月の参議院選挙では、暫定税率廃止が大きな争点となりました。選挙の結果、与党は参議院でも過半数を失い、野党の主張が通りやすい環境が整いました。自民党の坂本国対委員長氏は「参院選で明確になった新たな民意に従って政策づくりをしていく」と説明しています。
しかし、財政健全化を重視する立場からは、暫定税率廃止に慎重な意見も根強く残っています。日本の財政赤字は巨額で、近年は国債の利回りも上昇しています。暫定税率廃止を理由に財政がさらに逼迫すると、国債の格付けが下がったり、円安が進行したりする可能性が指摘されています。
また、脱炭素政策との矛盾も問題視されています。日本は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする目標を掲げていますが、ガソリン税の減税は燃費が悪く走行距離が長い利用者がより多くの恩恵を受けることになり、脱炭素の流れに逆行するとの指摘があります。
小林政調会長氏の発言は、こうした課題を抱えながらも、参議院選挙で示された民意を重視し、年内の実現に向けて前進する姿勢を示したものです。11月中の決定が実現すれば、1974年の導入以来50年以上続いた暫定税率が廃止されることになり、歴史的な税制改正となります。