2025-07-28 コメント投稿する ▼
不法滞在ゼロプランに日弁連会長が反対声明 塩崎彰久議員は「共生社会のために必要」と反論
「不法滞在ゼロプラン」に日弁連会長が反対声明 自民・塩崎議員は「共生社会のために必要」と反論
出入国在留管理庁が掲げる「不法滞在ゼロプラン」について、日本弁護士連合会の渕上玲子会長が「外国人差別を助長しかねない」として反対を表明したことに対し、自民党の塩崎彰久衆院議員は7月28日、SNS上で「偏見や差別を助長するものではない」と反論し、ルールを守る全ての人が安心して暮らせる社会の実現に必要な取り組みだと強調した。
「ゼロプラン」は共生の前提か、排除の口実か
不法滞在ゼロプランは、2023年5月に出入国在留管理庁が発表した政策で、約7万人に上る不法滞在者のうち、強制送還を拒否する「送還忌避者」約3千人を5年半で半減させる目標を掲げるもの。難民認定申請を繰り返す者や、重大犯罪を犯した外国人への対応強化を柱に、護送官付きでの国費送還を進めている。
この施策に対して、日弁連の渕上会長は今月22日、「不法滞在者=国民に不安を与える存在」と捉えること自体が問題だと懸念を示し、強制送還の加速が難民や庇護対象者の権利を侵害する恐れがあると指摘した。
塩崎議員「制度悪用への対応が信頼の土台」
渕上会長の声明に対し、自民・塩崎議員はX(旧ツイッター)に投稿し、次のように述べた。
この政策は決して外国人に対する偏見や差別を助長するものではなく、正規に在留する外国人や国民の信頼のために必要な取り組みです
さらに、「SNS等で拡散される感情的な議論に流されるのではなく、正確な情報に基づいて冷静な政策論議を進める必要がある」と強調。「制度を悪用・濫用する外国人に対しては毅然とした対応が不可欠であり、それが真に共生社会を実現する基盤になる」と述べた。
「共生社会」の実現に必要な線引き
塩崎氏はこれまで、衆院予算委員会などでも不法滞在問題に言及しており、ゼロプランは「違法状態を放置することが、結果的にまじめに暮らす外国人への不信や排除につながる」として、一貫して制度の厳格化を主張してきた。
日本には現在、特定活動や難民申請中などの名目で送還を拒む外国人が一定数存在しており、中には複数回の難民申請を繰り返しながら、実態は就労を目的としているケースも報告されている。これに対し、制度の濫用・空洞化を防ぎ、「保護されるべき人と、そうでない人の区別を明確にすること」が必要だというのが政府・与党側の立場だ。
市民の声も分かれている。
「ルールを守らない人を放置しては共生は成り立たない」
「不法滞在はれっきとした違法行為。差別ではなく秩序の問題」
「正当な理由のある人まで一括りに扱うのは問題」
「“ゼロ”という言葉が排除に聞こえる。もっと柔軟さを」
「外国人労働者を呼び込んでおきながら、都合よく締め出すのか」
制度の運用こそが信頼の鍵
ゼロプランをめぐる議論は、「外国人との共生社会」をどのように形にしていくのか、その方向性を問うものでもある。単なる強制送還の推進にとどまらず、誰が保護され、誰が排除されるのかという線引きをどう制度化し、どう透明に運用するかが、今後の鍵となる。
塩崎議員は、「共生は寛容だけでは成り立たず、公平で透明なルールの下に初めて実現できる」と述べ、日弁連の姿勢に一定の理解を示しつつも、現実的対応の必要性を繰り返し訴えている。