2025-11-10 コメント投稿する ▼
鈴木自民幹事長が立花孝志逮捕で「自死に追い込むあってはならない」と強く批判
自民党の鈴木俊一幹事長は2025年11月10日の記者会見で、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕されたことについて、「SNSや街頭演説を使って、人を傷つけ自死に追い込むというようなことはあってはならない」と強く批判した。
立花氏の逮捕事案の詳細
立花孝志容疑者(58)は2025年11月9日午前3時42分、名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕された。容疑は、2025年1月に亡くなった竹内英明元兵庫県議について虚偽情報を拡散し、名誉を傷つけたというものだ。
具体的には、2024年12月13~14日に大阪府泉大津市長選の街頭演説で「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言し、2025年1月19~20日にはSNSや埼玉県川越市議補欠選挙の応援演説で「明日逮捕される予定だった」などと虚偽情報を投稿・発言したとされる。
竹内元県議は、兵庫県の斎藤元彦知事の告発文書問題で県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員として活動していたが、SNSなどでの誹謗中傷が過熱し、2024年11月に議員を辞職。その後、2025年1月に自宅で死亡が確認された。竹内氏の妻は2025年6月に立花容疑者を名誉毀損容疑で刑事告訴していた。
兵庫県警は立花氏の発言について「事実無根」「明白な虚偽」と完全に否定している。県警幹部によると、亡くなった人物に対する名誉毀損容疑での立件は異例だという。
鈴木幹事長の強い批判
鈴木俊一幹事長は記者会見で、立花氏の行為について明確に批判した。「SNSや街頭演説を使って、人を傷つけ自死に追い込むというようなことはあってはならない」との発言は、立花氏の一連の行為が竹内氏の死に影響を与えた可能性を示唆するものだ。
この発言は、政治家による言論の責任を重視する自民党の姿勢を明確に示すもので、特にSNSでの情報拡散が人の生命に関わる深刻な結果をもたらす可能性への警鐘として注目される。
「政治家が人を死に追い込むなんて許せない」
「やっと自民党がまともなことを言った」
「立花氏の行為は明らかに行き過ぎ」
「SNSでの誹謗中傷は犯罪だと認識すべき」
「竹内さんのご家族のことを思うと胸が痛い」
会派結成での対応に混乱
一方で、鈴木幹事長は立花氏の逮捕を受けた参院会派の見直しについて問われた際、当初「斉藤氏はすでにN党を離党して無所属だったと認識している。自民とN党が会派を組んだということはない」と説明した。しかし、その後に斉藤氏のN党離党は認識違いだったと訂正する事態となった。
この混乱は、自民党が10月15日にN党の斉藤健一郎参院議員と参院会派「自民党・無所属の会」を結成したばかりであることと関係している。斉藤氏はN党の副党首でただ一人の国会議員として、2024年10月の首相指名選挙では高市早苗氏に投票し、2025年3月には予算案に賛成するなど、自民党との連携を深めてきた。
自民党は参院で100議席を有するが、公明党との連立解消で過半数の124議席には足りない状況にある。そのため無所属議員らとの連携を模索する中で、斉藤氏との会派結成が実現した経緯がある。
立花氏の過去の問題行為
立花容疑者は過去にも問題を起こしており、NHK受信契約に関する個人情報を不正に取得し、ネット上に流出させるとNHKに迫ったとする威力業務妨害罪などで、2023年に懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決が確定している。今回の逮捕は執行猶予期間中の事件であり、有罪判決が確定すれば実刑となる可能性が高い。
また、竹内元県議以外にも、同じく百条委員会で活動していた奥谷謙一県議や丸尾牧県議からも、SNSなどで虚偽内容を投稿されたとして名誉毀損容疑で刑事告訴されたり、民事訴訟を起こされたりしている。
政治とSNSの責任問題
今回の事件は、政治家によるSNSや街頭演説での発言の責任を改めて問う重要な事案となっている。特に根拠のない情報の拡散が、対象となった人物の精神的苦痛や社会的信用の失墜につながり、最悪の場合は生命に関わる結果をもたらす可能性があることを示している。
鈴木幹事長の「あってはならない」との発言は、こうした行為に対する政治界全体の強いメッセージとして受け止められている。政治家には高い倫理観と責任ある発言が求められる中、今回の事件は政治とメディア、そして個人の尊厳の関係について深く考えさせる契機となっている。
立花容疑者は11月10日に送検されており、今後の捜査の進展と司法判断が注目される。同時に、政治家による情報発信のあり方や、SNSでの言論の責任についても、より厳格な基準が求められることになりそうだ。