自民党が選択的夫婦別姓に慎重姿勢 家族の一体感を重視し制度導入見送りへ

自民党が選択的夫婦別姓に慎重姿勢 家族の一体感を重視し制度導入見送りへ

自民党、選択的夫婦別姓の明記を回避 党内の温度差浮き彫りに


自民党の「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(WT)は5月28日、党本部で会合を開き、選択的夫婦別姓制度に関する基本方針案の修正について協議を行った。この案では、旧姓の使用を制度的に認める方向性には言及されたものの、「選択的夫婦別姓」の法制度そのものについては一切触れられなかった。

この背景には、党内の温度差が根深く影響している。家族の一体感や子どもの戸籍への影響などを懸念する声が根強く、制度導入に慎重な議員が少なくない。一方で、個人の生き方や多様性を尊重する立場から、選択制の導入を求める声もあり、激しい議論が続いている。会合後、座長を務める逢沢一郎衆院議員は「今後は座長の責任で案を練り上げていく」と語り、党内合意の形成を急ぐ姿勢を示した。

伝統的家族観と戸籍制度を守る保守的立場


今回の修正案では、「旧姓の単独使用」に向けた法整備の必要性に言及するにとどまった。これは、選択的夫婦別姓を認めれば、家族の一体性が損なわれるという保守派の主張を一定程度反映した結果といえる。

また、戸籍制度の根幹に関わる制度変更には非常に慎重であるべきだというのが自民党の基本的な立場であり、法務省もその見解を共有している。姓の分離は、親子関係の明確化や教育現場、行政手続きにおける混乱を招く可能性があるという現実的な懸念もある。

選択制推進派は反発も、党内議論の整理優先


一方、制度導入を求める一部の若手議員や女性議員からは強い不満の声も上がった。中でも井出庸生衆院議員は「推進側の考えが反映されていない」と述べ、今回の修正案に強く異議を唱えている。しかし、党執行部は「政策決定の最終的判断はあくまで党全体で行う」としており、WTの提言に法的拘束力はない。

今後、野党が提出している選択的夫婦別姓をめぐる複数の法案が国会で審議される予定だが、自民党の対応については現段階で明言されておらず、党内議論の整理が優先される見通しだ。

ネット上では慎重派の声が多数


SNS上では、夫婦別姓に慎重な立場からのコメントが多く見られる。

「夫婦で姓が違ったら、子どもが混乱する。そんな制度いらない」
「家族の絆って、同じ名字を名乗るところから始まると思う」
「旧姓を使いたければ、通称で使えばいいだけ」
「急に制度を変えるのではなく、もっと時間をかけて議論すべき」
「多様性を尊重するのと、社会の秩序を守ることは別問題」


こうした声は、自民党内の慎重姿勢を後押ししている形だ。制度導入への国民的合意は、未だ遠いというのが実情だろう。

今後の焦点は選挙公約への反映


今回のWTでの方針は、夏の参院選に向けた政策集にも反映される可能性がある。自民党が家族制度をどう位置づけ、どこまで変化に対応するのかは、有権者にとっても大きな関心事だ。

制度導入を求める野党や一部有識者の主張が勢いづく中、伝統的家族観と戸籍制度の安定を重んじる立場との衝突は今後も続く見通しだ。自民党が示す「家族を守る」という姿勢が、選挙戦でどのように受け止められるかが注目される。

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2025-05-29 10:08:57(植村)

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