2025-04-16 コメント投稿する ▼
関税撤廃へ“90日勝負” 赤沢経済再生相が訪米、日米交渉が本格化
■ 交渉の焦点は“上乗せ関税”と非関税障壁
現在、日本に課されている24%の関税のうち、基本の10%は既に適用済みだが、追加の14%分は7月上旬までの90日間、いったん停止されている。この猶予期間中に、日米間で本格的な協議を進めるというのが今回の狙いだ。
米側は、日本の市場が依然として「閉鎖的」との認識を持っており、特に農産物や自動車に関して非関税障壁の撤廃を強く求めている。USTRが公表した報告書では、コメの輸入制度や豚肉への段階的な関税、自動車の安全基準が障壁として名指しされている。
■ 首相は「信頼関係を築け」と指示
赤沢氏は15日、首相官邸で石破茂首相と面会。首相からは「しっかりと信頼関係を築き、互いにウィンウィンの形を模索してほしい」と激励を受けたという。会談後、記者団に対し赤沢氏は「国益にかなう道を探ることが第一。全力で交渉に取り組む」と意気込みを語った。
同日、林芳正官房長官も記者会見で「政府一丸となって早期に成果が出せるよう全力を尽くす」と強調。政権としてこの交渉を極めて重視している姿勢がうかがえる。
■ “マール・ア・ラーゴ合意”再来の可能性も?
今回の訪米では、為替問題も議題に上がる可能性がある。トランプ大統領は、ドル高が米国製品の競争力を損ねていると繰り返し主張しており、円高誘導を狙った圧力が再燃する恐れもある。一部では、1985年の「プラザ合意」を彷彿とさせる“マール・ア・ラーゴ合意”のような展開を警戒する声も出ている。
ただ赤沢氏はこの点について「予断を持って話すのは控える」と慎重な構えを見せた。
■ 国内の経済対策とも連動
政府内では、交渉の行方を見据えつつ、関税が国内産業に与える影響への対応も模索している。与党内からは、円安や物価高を受けて、消費税減税や追加の給付金などを求める声が上がっており、日米交渉の帰趨はこうした内政の議論にも波及しかねない。
■ 注目集める交渉、成否が今後を左右
日本は、主要国の中でいち早くアメリカとの関税交渉に動き出しており、国際社会からも注目を集めている。今回の赤沢氏の訪米が成果を上げれば、他国との交渉にも良い影響を与える可能性がある。
一方で、交渉が不調に終われば、輸出産業や円相場に大きな影響を及ぼす恐れもある。赤沢氏には、日本の“経済の舵取り役”として、極めて重い使命が託されている。