経産省が燃料「仲介」に乗り出す 医療・バス直撃、ホルムズ封鎖で目詰まり深刻

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経産省が燃料「仲介」に乗り出す 医療・バス直撃、ホルムズ封鎖で目詰まり深刻

経済産業省が「燃料仲介役」に乗り出しました。ホルムズ海峡の事実上の封鎖という異常事態を受け、A重油不足に陥った医療機器メーカーや軽油の供給制限を受けたバス会社などを石油販売会社とつないで、必要な燃料の確保を支援したことを2026年4月4日にXで公表しました。こうした燃料調達の「目詰まり」は今後も広がる可能性があり、経産省は同様の困難を抱える事業者に対して省への相談を呼び掛けています。

「目詰まり」が現場を直撃 A重油も軽油も調達できない


事例の一つ目は、中部地方に工場を置く医療機器メーカーです。新生児医療に使われるカテーテルを滅菌するために必要なA重油が不足し、経産省に連絡を取りました。経産省は石油販売会社に要請し、2026年5月までの分を確保することができました。

二つ目は、九州の路線バス会社です。長年取引してきた購入先から突然、軽油の供給制限を受けたと経産省に相談。経産省は関係省庁と連携して石油元売り事業者に供給を依頼し、バス会社は当面必要な軽油の量を確保することができました。新生児医療や生活路線バスという、国民生活に直結する現場で、すでに燃料不足の影響が出始めていることが鮮明になった形です。

なぜ今、燃料が手に入りにくくなっているのか


事態の根本には、中東情勢の急激な悪化があります。2026年2月28日、アメリカとイスラエルがイランの軍事施設を攻撃しました。これを受けてイラン革命防衛隊は3月2日、「ホルムズ海峡は閉鎖された」と宣言。原油や石油製品を運ぶタンカーが事実上通れなくなりました。

日本は原油輸入のおよそ9割以上をこのホルムズ海峡に頼っており、世界の中でも中東依存度が突出して高い構造的な弱点を長年抱えてきました。ホルムズ海峡が事実上封鎖されれば、日本への原油の供給が大幅に減ることは避けられません。中東以外の米国や南米などからの輸入と備蓄の活用で対応していますが、プラスチックの原料などに使われるナフサの在庫は国内需要の約2か月分にとどまるとされています。こうした状況で、流通網の中で供給の偏りや目詰まりが生じており、一部の事業者が燃料を十分に調達できなくなっています。

政府は備蓄放出と補助金で対応も、現場への浸透に課題


政府はこれまでもさまざまな対策を打ってきました。高市早苗首相は3月11日の記者会見で、G7や国際エネルギー機関(IEA)と連携しながら石油備蓄を活用する方針を表明。3月16日には民間備蓄の15日分を、3月26日以降は国家備蓄のおよそ1か月分(約850万キロリットル)の放出を順次開始しました。

また、2025年度予備費から8,007億円の使用を閣議決定し、うち7,948億円をガソリンや軽油などの価格を抑える補助金の財源に充てることにしました。さらに経産省は3月14日、燃料の買い占めや売り惜しみに関する情報提供の窓口を新たに設けています。

しかし備蓄の放出や補助金は大きな流れに対応するものであり、個々の事業者が「取引先から供給を止められた」「突然量を減らされた」といったケースに直接対処するものではありません。そこで今回、個別事業者が困ったときの「駆け込み先」として経産省自身が仲介役に乗り出したわけです。

「新生児を助けるための医療機器が止まるかもしれないって、こんな事態になるとは思わなかった」
「路線バスに軽油が入らなくなったら地域の足が止まる。政府には早急な対応を求めたい」
「備蓄があると言われても、現場では普通に燃料が買えない。市場の流通がおかしくなってる」
「物流会社やバス会社だけじゃなく、農業の現場でも燃料が確保できなくなりつつある」
「政府が個別に仲介する体制を作ったのはいいが、根本的な中東依存の構造をいつ変えるんだ」

物流業界からも深刻な訴えが上がっています。日本物流連合会は2026年4月3日、「ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う燃料供給危機に関する声明」を発出しました。声明では、燃料の供給逼迫とコストの急増が「倉庫保管を含めたサプライチェーン全体の維持を根底から揺るがす事態となっている」と訴え、納品リードタイムの柔軟な設定や燃料サーチャージの理解を荷主企業などに呼び掛けています。

代替輸送ルートとして、サウジアラビアのヤンブー港やUAEのフジャイラ港を経由してホルムズ海峡を避ける航路が活用されており、2026年3月28日に第1船が日本に到着しています。しかし、代替ルートでは航行日数が2〜3週間余分にかかるため、コストの上昇も避けられない状況です。

「目詰まり」を放置すれば医療・物流・農業が連鎖被害に


今回の問題を複雑にしているのは、備蓄そのものがなくなったわけではなく、流通の過程で特定の事業者に燃料が届かなくなっているという点です。大手が優先的に確保する一方で、中小の事業者や特殊な用途の燃料を必要とする分野が後回しになる「偏り」が生じています。

現時点では石油備蓄の放出で全体の供給量は確保されているとされますが、この「目詰まり」が解消されなければ、医療や農業、物流など幅広い現場への被害が連鎖する恐れがあります。そもそもこうした事態を招いた背景には、数十年にわたる中東への一辺倒なエネルギー依存があります。

これは歴代政権が抜本的な多角化対策を怠ってきた結果とも言えます。今の物価高や燃料不足は急ごしらえの補助金だけで解決できるものではなく、財政出動とあわせて、エネルギー調達先の本格的な多角化や省エネ投資に一刻も早く取り組むことが求められます。経産省は燃料調達が難しくなっている事業者に対し、省への相談を呼び掛けており、情報提供を受け付ける窓口も設けています。

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2026-04-05 09:24:13(植村)

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