2026-04-03 コメント投稿する ▼
ホルムズ封鎖で医療資材値上げ 赤沢亮正経産相「世界から調達」も現場は悲鳴
日本は原油輸入量の約93%を中東に依存しており、石油由来のプラスチック製医療資材の不足と値上げが医療現場を直撃し始めています。 これに対し赤沢亮正経済産業大臣は「医薬品や医療機器・医療物資については、代替製品を世界全体から調達するとともに石油製品の融通支援などを通じて安定供給に取り組んでいる」と答弁しました。
2026年2月末、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖状態となりました。日本は原油輸入量の約93%を中東に依存しており、石油由来のプラスチック製医療資材の不足と値上げが医療現場を直撃し始めています。
高市早苗首相(自由民主党)は2026年3月30日、赤沢亮正経済産業大臣を「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣」に兼務させる人事を発令しました。政府は医療用品を含む重要物資の安定供給を最優先課題と位置づけ、対策を急いでいます。
プラスチック製医療資材に値上げの波、現場は悲鳴
国会では与党・自由民主党(自民党)の宮本議員が「医療業界ではプラスチックを用いた医療物資の値上げが進んでいる等の話を聞いている」と述べ、政府の対応を質しました。これに対し赤沢亮正経済産業大臣は「医薬品や医療機器・医療物資については、代替製品を世界全体から調達するとともに石油製品の融通支援などを通じて安定供給に取り組んでいる」と答弁しました。
医療現場の実態はより深刻です。点滴に使用するプラスチック製チューブなどのセットについて、業者から今月2倍程度の値上げを通告された医療機関も出ています。医療行為としての点滴は診療報酬で公定価格が決まっているため、資材費が上がっても患者に価格転嫁できず、「点滴をすればするほど赤字になる」という声が現場から上がっています。
「人工透析の患者さんの命に直結する資材が手に入りにくくなるかもしれないなんて、恐ろしすぎる」
「資材費が2倍になっても診療報酬は変わらない。これが長引いたら病院経営が本当に限界を超える」
ナフサ不足が医療用プラスチックを直撃する構造
なぜ医療資材にまで影響が及ぶのでしょうか。その背景には、医療用プラスチック製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)が、ホルムズ海峡経由での調達に大きく依存しているという構造問題があります。
ナフサとは原油を精製する際に得られる炭化水素の混合物で、石油化学産業の最も基本的な原料です。ナフサを高温の分解炉で熱分解すると、エチレン・プロピレン・ブタジエンといった基礎化学品が生成されます。これらは加工され、プラスチック・合成繊維・合成ゴムなど現代産業のほぼあらゆる分野をカバーする素材となります。
日本の製油所で生産されるナフサは国内需要の3割程度しかなく、残りはUAEやクウェートなど中東諸国や韓国からの輸入に頼っています。実際、石油化学コンビナートの中にはすでに減産を開始したり、操業停止の可能性を取引先に通知したりしているところも出てきています。
「ナフサが来ないとプラスチックが作れなくて、プラスチックがないと医療ができない。この連鎖を政府はちゃんと分かっているのか」
「備蓄があると言うが、ナフサは原油と違って備蓄が少ない。楽観論で突き進まないでほしい」
政府の対応と問われる中長期的な構造転換
政府は備蓄原油を活用し、当面の石油製品については「日本全体としての必要量は確保できている」(赤沢大臣)との立場をとっています。赤沢大臣は軽油や重油の不足・値上げについては供給の偏りや目詰まりによるものと説明し、効果的に流通させることで対応するとしました。
原油の代替輸送ルートについては、ホルムズ海峡を通らないサウジアラビアのヤンブー港やUAEのフジャイラ港を経由するルートの模索が進んでいます。実際に2026年3月28日にはヤンブーからの原油を積んだタンカーが愛媛県に到着しており、代替ルートは一定の実績を積み始めています。ただし、輸送日数の増加やコスト倍増という課題も残ります。
赤沢氏は厚生労働省と連携し、医療用品に必要なプラスチックなど石油由来素材の流通円滑化に取り組むとともに、農林水産省や国土交通省とも連携して農業や物流インフラへの対策を進めています。政府内にはタスクフォース(作業部会)も設置され、供給状況の総点検が始まりました。
しかし問題の本質は、数十年にわたる中東エネルギー依存という構造にあります。この依存体質が続く限り、今回のような危機が起きるたびに医療現場や国民生活が直撃され続けます。目先の流通対策だけでなく、エネルギー調達先の抜本的な多角化と国内でのナフサ生産能力強化に向けた中長期的な政策が今こそ問われています。現在の物価高や資材高騰は長年のエネルギー政策の失敗のツケであり、財政出動や補助金だけに頼らず、構造転換への明確な道筋を政府が示す責任があります。
「政府は『確保できている』と言い続けているが、医療現場の声が届いているのか本当に疑問だ」