2026-02-24 コメント投稿する ▼
日英が描く「脱・中国依存」の青写真:レアアース供給網の強化と経済安保の最前線
日本やイギリスにとって、特定の国に資源を依存しすぎることは、経済だけでなく国家の安全保障にとっても大きなリスクとなっています。 具体的には、日本が持つ高度な加工技術と、イギリスが持つ国際的なネットワークや金融力を組み合わせることが想定されています。 今回のロンドンでの協議は、その方針が着実に実行されていることを示しました。
日英首脳会談から続く強固な連携の背景
2026年2月23日、ロンドンで日英の外務次官級協議が行われました。この協議は、同年1月末に東京で開催された高市早苗首相とイギリスのスターマー首相による首脳会談の成果を具体化するための重要なステップです。かつて「日英同盟」を結んでいた両国は、現在、再びその絆を急速に深めています。その背景には、世界の政治情勢が不安定になる中で、価値観を共有する「同志国」との連携が不可欠になっているという認識があります。特に、防衛や経済安全保障の分野において、日英は切っても切れないパートナーとしての地位を確立しようとしています。今回の次官級協議は、トップ同士が約束した大きな方向性を、実務レベルでどのように進めていくかを確認する場となりました。
レアアースを巡る中国の影と現状の課題
今回の協議で最大の焦点となったのは、レアアース(希土類)を含む重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の強化です。レアアースは、電気自動車(EV)のモーターやスマートフォン、さらには最新鋭の兵器にまで使われる「産業のビタミン」とも呼ばれる不可欠な資源です。しかし、その生産や加工の多くを中国が握っているのが現状です。中国は近年、資源を外交のカードとして利用する動きを見せており、輸出規制を強化する姿勢を強めています。日本やイギリスにとって、特定の国に資源を依存しすぎることは、経済だけでなく国家の安全保障にとっても大きなリスクとなっています。この「資源の武器化」にどう立ち向かうかが、両国にとっての急務です。
経済安全保障を軸とした新たな協力体制
船越健裕外務事務次官とイギリスのロビンス事務次官は、このリスクを回避するために、供給網の「強靱化」で一致しました。これは単に資源を確保するだけでなく、採掘から加工、リサイクルに至るまでのプロセスを、信頼できる国々の間で完結させる仕組みを作ろうという試みです。具体的には、日本が持つ高度な加工技術と、イギリスが持つ国際的なネットワークや金融力を組み合わせることが想定されています。また、この協力は経済面にとどまらず、防衛装備品の共同開発など、安全保障全般にわたる幅広い分野での連携を強化する土台となります。両国は、中国を念頭に置きつつ、自由で公正な経済ルールを維持するための防波堤になろうとしています。
多角的な供給網の構築と将来の予測
今後は、日英二国間だけでなく、オーストラリアやカナダといった他の同志国を巻き込んだ多角的なネットワークが構築されると予測されます。中国への過度な依存を減らす「デリスキング(リスク低減)」の動きは、今後さらに加速するでしょう。2020年代後半にかけて、重要鉱物の調達先は世界各地に分散され、特定の国の意向によって産業全体が停滞するような事態を防ぐ体制が整っていくはずです。これは、日本の製造業が安定して成長を続けるための生命線となります。また、こうした動きは、国際社会における日本の発言力を高めることにもつながります。資源の確保を他国任せにせず、自らルール作りを主導する姿勢が、これからの日本には求められます。
高市政権が目指す国際秩序の安定
高市政権は、経済安全保障を国策の柱に据えています。今回のロンドンでの協議は、その方針が着実に実行されていることを示しました。イギリスとの連携を深めることは、ヨーロッパとインド太平洋地域の安全保障を連結させる意味も持っています。将来的には、日英の協力が世界のスタンダードとなり、自由で開かれた経済秩序を守るための大きな力となるでしょう。私たちは、資源という目に見える物資のやり取りを通じて、目に見えない「信頼」のネットワークを世界中に広げていく過程に立ち会っているのです。この日英の強力なタッグが、不安定な国際情勢の中での「安定の錨」となることが期待されています。