2026-01-19 コメント投稿する ▼
赤澤亮正経済産業大臣、日シンガポール共創ピッチ2025で協業加速
経済産業省と日本貿易振興機構(JETRO)は、シンガポールの貿易産業省、経済開発庁、企業庁と共催し、「日シンガポール・ファストトラック・ピッチ 2025」を2026年1月14日にシンガポールで開催しました。
日シンガポール・ファストトラック・ピッチ2025を開催
経済産業省と日本貿易振興機構(JETRO)は、シンガポールの貿易産業省、経済開発庁、企業庁と共催し、「日シンガポール・ファストトラック・ピッチ 2025」を2026年1月14日にシンガポールで開催しました。会場参加約160人とオンライン参加約90人を合わせて約250人が参加し、スタートアップと大企業の協業を前提にした提案が競い合いました。
この枠組みの特徴は、企業側が解きたい課題を先に示し、そこへ解決策を持つ企業が提案する点にあります。展示会のように広く浅く名刺交換をする場ではなく、最初から「一緒に作るテーマ」を絞り込むことで、協業の初速を上げる設計です。
7社の課題提示と20社の最終提案、応募は約110件
当日は、7社のチャレンジオーナーが提示したオープンイノベーションの課題に対し、日本とシンガポールを含む20社のファイナリストが提案をプレゼンしました。募集期間を通じた応募は全世界から約110件で、各チャレンジオーナーが審査して最終提案を選んだとされています。
ピッチに先立ち、赤澤亮正経済産業大臣とタン・シーレン人材大臣が開会挨拶に立ち、両国間でのイノベーション創出に向けた協力強化の重要性を発信しました。政府側が民間の協業を「輸出や投資と同じく、成長戦略の柱」として扱う姿勢が見える場面です。
日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブの狙い
経済産業省とJETROは、ASEAN各国の政府機関と連携し、日ASEAN双方のスタートアップと大企業の協業を後押しする枠組みを「日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブ」として進めています。今回のシンガポールは、その枠組みの第1弾として位置付けられました。
狙いは、日ASEANのスタートアップに対して、政府・支援機関の伴走と、協業相手へのアクセスを同時に広げることです。日本企業側にとっても、ASEANの市場や規制環境に近い場所で実証や商談を進めやすくなり、海外展開の入り口を作りやすくなります。
シンガポールは資金調達や実証の拠点が集まり、東南アジア全体へ展開する足場にもなります。日本のスタートアップにとっては、国内だけでは得にくい顧客接点やパートナー探索を短期間で進められる利点があります。
一方、日本の大企業側が求められるのは、採用や投資と同じ熱量で協業を回す社内ルールです。担当部門だけが動いても、予算と決裁が追いつかなければ、せっかくの提案が埋もれてしまいます。
一方で、協業の場を作るだけでは成果は確定しません。採択後に実証へ進むまでの支援、現地での法務や知財の調整、意思決定を早める社内体制まで含めて動かないと、イベントが「発表会」で止まる危険があります。
「課題が具体的で提案しやすい」
「面白いのに契約で止まるのが一番もったいない」
「実証の場所と予算が付くと一気に進む」
「日本側の決裁が遅いと熱が冷えます」
「成功事例を数で見せてほしい」
協業を成果にする鍵は契約と検証、そしてスピード
ピッチは出会いの効率を上げますが、協業が進むかどうかはその後の設計で決まります。特に知財の扱い、実証の費用負担、責任分界、成果の取り込み方が曖昧なままですと、面談が積み上がっても止まりやすいです。
政府が関与する意義は、海外での実証や調整に必要な情報とネットワークをまとめ、民間が動く時間を短くする点にあります。成果を問うなら、実証開始件数、協業契約の件数、商談から契約までの期間など、進捗を測る指標を定期的に公表することが有効です。
主催側は今後も、同じ枠組みで複数国のイベントを続け、日ASEANの共創を面で広げる方針です。国ごとに産業構造や規制が違うため、現地に合わせた課題設定と実証の設計が、成果の差になります。
日ASEANで共創を進める競争は、技術だけでなく、実装までの速さと現地適合で差がつきます。日本側が「提案」から「実装」へ移る速度を上げられるかが、次の焦点になります。