2026-01-06 コメント: 2件 ▼
原子力規制庁スマホ紛失事件で浮き彫りになったスパイ防止法の必要性
原子力規制庁の職員が2024年11月、私用で訪れた中国・上海の空港で業務用のスマートフォンを紛失していたことが2026年1月6日に明らかになりました。 この問題が発覚した背景には、国家安全保障上極めて重要な情報を扱う職員が、なぜ私用の海外渡航に業務用スマートフォンを持参したのかという根本的な疑問があります。
この問題が発覚した背景には、国家安全保障上極めて重要な情報を扱う職員が、なぜ私用の海外渡航に業務用スマートフォンを持参したのかという根本的な疑問があります。原子力規制庁の核セキュリティー担当部署は、国内の原子力施設にある核物質をテロ攻撃や盗難から守るための対策を担当しており、職員の氏名や部署の連絡先は原則として非公開とされています。このような機密性の高い情報を扱う職員が、業務とは無関係の私的旅行に業務用端末を持参したこと自体、情報管理の基本ルールを逸脱していると言わざるを得ません。
私用旅行への業務用端末持参という重大な過失
関係者によると、スマートフォンは2024年11月3日、職員が私的な目的で訪れた上海の空港で、保安検査を受けるために手荷物を出した際に紛失したとみられています。紛失に気づいたのは3日後の11月6日で、空港などに問い合わせたものの見つかりませんでした。原子力規制庁の担当者は「現時点で悪用された形跡はない」としていますが、中国という国際的な情報戦が繰り広げられている国での紛失であることを考えると、楽観的な見方と言わざるを得ません。
そもそも、核物質防護という国家安全保障の根幹に関わる業務を担当する職員が、なぜ私用で中国に渡航する際に業務用スマートフォンを持参したのでしょうか。業務用端末には通常、セキュリティ上の制約があり、私的な利用は禁止されているはずです。にもかかわらず、このような持ち出しが行われたということは、組織内での情報管理体制に深刻な欠陥があることを示唆しています。
「核セキュリティー担当者が中国に業務用スマホって、情報漏洩リスク考えたら信じられない」
「紛失に3日後に気づくって遅すぎる。すぐに対処すべきだった」
「私用旅行に業務用スマホを持っていく必要性が全く理解できない」
「中国での紛失は偶然とは思えない。意図的な可能性も排除できないのでは」
「これが国の安全保障を担う組織の実態かと思うと恐ろしい」
スパイ防止法の必要性が改めて浮き彫りに
今回の事案は、日本の情報管理体制の脆弱性を露呈させるとともに、スパイ防止法の早期制定の必要性を改めて浮き彫りにしました。現在の日本には、スパイ行為そのものを包括的に取り締まる法律が存在しません。特定秘密保護法や重要経済安保情報保護法などがありますが、適用範囲が限定的であり、実効性には疑問が残ります。
元警視庁公安部外事課の捜査官だったセキュリティーコンサルタントは、日本のスパイ防止法の不在について「主要国のほとんどはスパイ防止法を制定しており、有罪になった場合の最高刑は死刑や無期懲役と極めて重い」と指摘しています。一方で日本では、スパイ行為が発覚しても窃盗罪や不正競争防止法違反などの軽い罪でしか取り締まれず、スパイが野放し状態になっているのが実情です。
2025年には、自民党の高市早苗氏や国民民主党の玉木雄一郎氏らがスパイ防止法制定の必要性を訴えており、今夏の参院選での公約化も検討されています。今回のような事案が発生するたびに、法整備の遅れが国家安全保障上の深刻なリスクとなっていることが明らかになります。スパイ防止法があれば、こうした情報漏洩のリスクを抑止する効果が期待できるだけでなく、職員の意識改革にもつながるでしょう。
機密情報を扱う職員の行動規範の再検討を
原子力規制庁の担当者は「庁内への注意喚起や再発防止に努める」としたうえで「海外渡航時などのスマホ携行に関するルールを整理したい」と述べていますが、これは明らかに後手に回った対応です。本来であれば、核セキュリティーという国家の根幹に関わる情報を扱う職員に対しては、海外渡航そのものについても厳格な制限を設けるべきではないでしょうか。
特に中国やロシアなど、諜報活動が活発な国への私的渡航については、事前の承認制や渡航後の報告義務を課すなど、より厳格な管理が必要です。また、業務用端末の海外持ち出しについては、原則禁止とし、やむを得ない業務上の必要がある場合のみ例外的に認めるといった運用に改めるべきでしょう。
今回の事案を単なる「軽率な行為」として片付けるのではなく、日本の情報管理体制全体を見直す契機とすべきです。国民の生命と財産を守るべき立場にある職員が、このような基本的な情報管理すらできていないという現実は、極めて深刻です。スパイ防止法の早期制定とともに、機密情報を扱う職員の行動規範を抜本的に見直し、二度とこのような事態が起きないよう徹底した対策を講じる必要があります。