2025-11-20 コメント投稿する ▼
三菱商事撤退で破綻した洋上風力政策、国民負担拡大より中止検討を
三菱商事の洋上風力撤退問題に際し、経済産業省は国民負担拡大による支援強化を検討しているが、物価高が続く現状で新たな負担増は許容できない。 コストの高騰は海外でも共通の課題であり、欧州の洋上風力先進国においても、撤退やゼロ入札が発生している状況で、専門家からは"洋上風力頼み"の再生エネルギー拡大戦略は「見直しを考えた方がいい」との指摘も出ています。
三菱商事撤退が暴いた洋上風力の致命的欠陥
三菱商事の中西勝也社長は会見で「建設費用が2倍以上の水準に膨らんでいる。将来さらにコストが変動するリスクもある」と明かし、同社の撤退は日本の洋上風力発電事業の難しさを示している状況です。30年間の総収入と総支出を比べると総支出が大きく、数千億円の投資をして、マイナスのリターンで事業を継続するという選択は民間企業には取れないという現実が露呈しました。
三菱商事らが撤退を決めた3海域で想定されていた洋上風力発電所の出力は、合計で約170万kW(1.7GW)にのぼる規模であり、三菱商事は資機材や建設費の高騰による採算性の悪化を理由に挙げ、実際、資材価格、労務費、輸送費は入札時から急騰し、建設費全体は2割上昇していると報告されています。
「また税金の無駄遣いが始まるのか」
「物価高で苦しんでいるのに、なぜ電気代負担を増やすのか」
「民間企業が撤退するほどの事業を税金で支えるのはおかしい」
「洋上風力はもう諦めるべきだ」
「国民負担ばかり増やして、誰が責任を取るのか」
国民負担は既に限界水準に達している
現在、日本国民は電気料金の高騰に悩まされています。2025年度の再エネ賦課金単価は3.98円/kWhと過去最高水準に達しており、標準家庭(月260kWh)で月1,034円もの負担増になる計算で、標準家庭においては毎月1,194円の再エネ賦課金の負担が見込まれ、2024年度と比較すると毎月147円分の負担増となっています。
2025年は円安傾向にあるのも、家計が圧迫される原因の1つで、電気・ガス料金負担軽減支援事業は物価高により厳しい状況にある生活者の支援を目的として実施された状況にもかかわらず、政府はさらなる国民負担拡大を検討しているのです。
洋上風力政策の構造的欠陥
今回の問題の根本原因は、政府の入札制度設計の失敗にあります。2021年12月24日に公表された結果は驚くもので、三菱商事と中部電力子会社シーテックらのグループが3海域すべてを驚愕の低価格で落札し、競合事業者を一掃した。いずれの海域も三菱グループの入札価格は競合事業者の5~8割と格段に安価でした。
とくに千葉県銚子沖は海底地盤や海象条件の点で難易度が高い。そういうことを考えると1kWh当たり16円で、できるわけがない。応札時点の事業環境が続いていたとしても事業は難しかったという専門家の指摘もあり、最初から無謀な計画だったことが明らかになっています。
経済合理性を無視した政策の継続は危険
コストの高騰は海外でも共通の課題であり、欧州の洋上風力先進国においても、撤退やゼロ入札が発生している状況で、専門家からは"洋上風力頼み"の再生エネルギー拡大戦略は「見直しを考えた方がいい」との指摘も出ています。
政府の支援強化方針は、失敗した政策に追い銭を投じる典型例です。民間企業が経済合理性の観点から撤退を決断した事業に、国民の電気代を原資とする支援を拡大することは、市場メカニズムを歪める危険な政策介入といえます。
代替エネルギー政策への転換が必要
日本が本当に必要としているのは、現実的で持続可能なエネルギー政策です。洋上風力のような高コスト・高リスクの技術に固執するのではなく、以下のような方向性を検討すべきです。
第一に、原子力発電の再稼働促進です。安全性を確保した上で、既存の原子力発電所を最大限活用することで、安定した低コストエネルギーを確保できます。
第二に、陸上風力や太陽光の効率的配置です。洋上風力ほどコストがかからず、技術的リスクも低い陸上での再生可能エネルギー開発に重点を移すべきです。
第三に、エネルギー効率化技術への投資です。供給側の拡大よりも、需要側の効率化により総エネルギー需要を抑制することの方が、費用対効果が高い場合があります。
国民負担軽減こそが最優先課題
物価高に苦しむ国民生活を考えれば、新たな負担増は断じて受け入れられません。政府は洋上風力への固執を改め、失敗した政策からの撤退を決断すべきです。
経済産業省の支援強化方針は、国民負担と引き換えに非効率な事業を延命させる愚策に他なりません。三菱商事の撤退を機に、洋上風力政策の全面的な見直しと中止を検討することが、国民益にかなう判断です。