2025-09-12 コメント投稿する ▼
80兆円対米投資は不平等条約否定では済まされない 政府は利益配分を具体的に説明せよ
国民にとって必要なのは、「不平等条約ではない」という言葉ではなく、出資比率と利益配分の関係を明確に示す数字や、どのような案件に資金が使われるのかという具体的な情報である。 政府が「不平等条約ではない」と繰り返すだけではなく、出資と利益の構造を明確に示し、損失リスクを含めた透明な説明を行うことが不可欠である。
対米投資80兆円をめぐる政府説明 「不平等条約ではない」の理屈を問う
日米が署名した対米投資覚書に基づき、日本が5500億ドル(約80兆円)規模を拠出することについて、赤沢亮正経済再生担当相は「不平等条約と呼ばれる内容ではない」と国会で答弁した。だが、その説明はあまりに抽象的であり、国民にとって納得できるものとは言い難い。なぜ不平等ではないと断言できるのか、その理屈が十分に示されていないからだ。
覚書では米国政府内に設けられる「投資委員会」が案件を選定し、大統領が最終決定する仕組みとなっている。形式上は日米双方で協議する「協議委員会」が存在するが、日本側が資金拠出を拒否すれば関税引き上げが発動される条項まで盛り込まれている。この時点で、米国に主導権が握られていることは明白である。
利益配分の不透明さと出資比率の疑問
政府は「日本の意向を反映できる」と説明するが、具体的にどのように利益配分が行われるかについては一切触れられていない。もし仮に利益の配分が1対9であったとするならば、日本と米国の投資比率も1対9なのか。日本が80兆円を出資しながら、実際の利益がほとんど米国側に偏るような仕組みであるなら、それこそ典型的な不平等条約と言わざるを得ない。
国際的な投資協定であれば、出資額とリターンの比率が透明に示されるのが常識である。しかし今回の覚書には、利益配分やリスク分担の具体的基準はほとんど明記されていない。日本国民が真に利益を得られるかどうか、確証を持てる材料が示されていないのだ。
「利益の内訳を隠したまま不平等ではないと言われても信用できない」
「出資比率と利益比率が一致しているのか説明すべき」
「80兆円が米国のための資金になるなら国民は納得しない」
「この論理はまるで戦時中の大本営発表のように一方的だ」
「国会で説明責任を果たさずに『問題ない』では済まされない」
政府説明と国民不信
赤沢氏は「日本の利益にならない案件に投資することは法令違反になる」と強調したが、それは制度上の建前にすぎない。米国が選定権を持つ以上、日本側の「歯止め」がどこまで実効性を持つのかは疑問視されている。さらに、日本が投資を見送れば制裁的に関税が引き上げられる仕組みは、事実上の圧力であり、日本が自主的に判断できる余地を狭めている。
国民にとって必要なのは、「不平等条約ではない」という言葉ではなく、出資比率と利益配分の関係を明確に示す数字や、どのような案件に資金が使われるのかという具体的な情報である。抽象的な説明だけでは、国民の理解を得るのは困難だ。
大本営発表を想起させる危うさ
政府の姿勢は、過去の「大本営発表」を思い起こさせるものがある。都合の良い部分だけを強調し、不都合な事実やリスクを説明しないまま「安心だ」と繰り返す態度は、歴史の教訓を踏まえれば極めて危険だ。民主主義国家において、政府の説明責任は国民の知る権利を支える根幹である。
80兆円という巨額の投資は、日本の将来世代に負担を残す可能性もある。政府が「不平等条約ではない」と繰り返すだけではなく、出資と利益の構造を明確に示し、損失リスクを含めた透明な説明を行うことが不可欠である。
80兆円対米投資の本質 不平等条約否定ではなく説明責任を果たせ
赤沢再生相の答弁は、政府の一方的な自己正当化に映りかねない。国民が求めているのは、「不平等ではない」という言葉ではなく、投資の妥当性を裏付ける具体的なデータと仕組みの説明である。出資比率と利益配分の関係を明示しない限り、この投資は不平等か否かの議論すら成り立たない。政府は歴史の教訓を踏まえ、説明責任を果たすべきである。