2025-09-14 コメント投稿する ▼
エイサーまつりに陸自隊員が初参加 市民団体の反発と「自分たちの正義」が孕む危うさ
今回のエイサーまつりに限らず、自衛隊に対する排除の動きは繰り返されてきた。 いずれの場合も「市民感情」を理由に掲げているが、令和4年に実施された共同通信の世論調査では、県民の8割以上が自衛隊を信頼しているというデータがある。 エイサーまつりにおける陸上自衛隊の参加は、多くの市民に歓迎される一方、一部団体の反発によって賛否が対立する結果となった。
エイサーまつりに自衛隊参加 反発する一部市民団体の論理が問われる
沖縄の伝統芸能である「エイサー」が主役の「沖縄全島エイサーまつり」で、地元の陸上自衛隊第15旅団が初めて参加し、勇壮な演舞を披露した。沿道の観客からは大きな拍手が送られ、会場は盛り上がりを見せた。しかし一方で、一部の市民団体が自衛隊の参加に強く反発し、出演中止を求める動きがあった。だがその主張には世論との乖離が目立ち、説得力を欠くものとなっている。
市民団体の反発とその背景
自衛隊参加に反対したのは、「止めよう辺野古新基地建設沖縄市民会議」などの団体だ。彼らは「戦後80年の節目の年に自衛隊がエイサーに参加するのは市民感情に反する」と訴え、主催者に中止を要請した。また「ガマフヤー」の具志堅隆松氏も「戦没者を祀る祭りに自衛隊が加わることは先祖の霊を侮辱する」と主張し、地元紙の琉球新報社も「違和感がある」との立場を示した。
しかし、これらの主張は一方的に自衛隊を「旧日本軍の延長」と見なし、歴史の断絶や自衛隊の現代的な役割を無視しているとの批判がある。特定の政治的主張を文化行事に持ち込むこと自体に疑問を呈する声も少なくない。
拍手で迎えた観客と戦争体験者の声
実際には、沿道の観客は自衛隊員のエイサー演舞を大きな拍手で歓迎した。力強い太鼓の響きと整然とした動きは観衆を魅了し、会場は一体感に包まれた。まつり実行委員長の花城大輔沖縄市長も「祭りは政治を持ち込む場ではない」と明言し、反発する団体に対して「平和を主語にしながら分断を生んでいるのは誰なのか」と疑問を投げかけた。
沖縄戦を生き抜いた91歳の石嶺邦夫氏は「自衛隊と旧日本軍を同一視するのは誤りだ」と断言。「職業差別にもつながりかねない」と述べ、自衛隊参加の正当性を強調した。SNS上でも「これは職業差別だ」「自衛隊を敵視するのは時代錯誤」といった投稿が目立った。
「拍手されていた姿を見れば、反発が少数派なのは明らか」
「自衛隊員だから排除するのは差別以外の何物でもない」
「平和を掲げて分断を煽るのは矛盾している」
「沖縄戦を持ち出すのは論理が飛躍しすぎている」
「市民感情を勝手に代表するなと言いたい」
繰り返される自衛隊排除の動き
今回のエイサーまつりに限らず、自衛隊に対する排除の動きは繰り返されてきた。今年1月には、那覇市の小学校で予定されていた航空自衛隊音楽隊のコンサートが、教職員組合の反発によって中止に追い込まれている。いずれの場合も「市民感情」を理由に掲げているが、令和4年に実施された共同通信の世論調査では、県民の8割以上が自衛隊を信頼しているというデータがある。この事実は、団体側の主張が多数派の意見を反映していないことを示している。
自衛隊は災害派遣や国際協力活動などで多くの実績を積み重ねており、その存在を評価する声は全国的に高まっている。沖縄でも台風被害時の救援活動や災害対応を通じて、地域社会を支えてきた実績は無視できない。
「自分たちの正義」の危うさと戦争の記憶
今回の一部市民団体の姿勢で浮かび上がったのは、「自分たちの正義」のためであれば周囲に迷惑をかけても構わないという発想だ。この考え方は、異なる立場や意見を排除し、相手を力でねじ伏せようとする点で、戦争を引き起こしてしまう人々の思考と重なる危うさを孕んでいる。平和を口にしながら分断を深める行為は、本来の目的と矛盾し、むしろ社会を不安定化させかねない。
沖縄全島エイサーまつりと自衛隊参加を巡る世論の分断
エイサーまつりにおける陸上自衛隊の参加は、多くの市民に歓迎される一方、一部団体の反発によって賛否が対立する結果となった。だが、県民の多数が自衛隊を信頼しているという調査結果から見ても、反発の論理は世論の後ろ盾を欠いている。今後も自衛隊の地域参加を巡っては同様の議論が繰り返されるだろうが、重要なのは地域住民の実感と信頼を基盤とする現実的な共存の在り方である。そして「自分たちの正義」を絶対視する排除の論理が、戦争を繰り返す思考と同じ危険を孕んでいることを忘れてはならない。