人材助成金20億円不正受給、エッグフォワードが指南、「営業協力費」で資金還流、2度目の摘発で確信犯

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人材助成金20億円不正受給、エッグフォワードが指南、「営業協力費」で資金還流、2度目の摘発で確信犯

厚生労働省は2026年2月25日、従業員の職業訓練などを支援する「人材開発支援助成金」について、30都府県の191事業所が計約20億円を不正に受給していたと明らかにしました。職業訓練サービス提供会社のエッグフォワード株式会社が不正受給を指南していました。厚労省は助成金の審査を厳格にするなど再発防止を図ります。

「営業協力費」の名目で資金を還流


人材開発支援助成金は、社員研修などに必要な費用の一部を国が支援する制度です。事業所側が訓練に必要な費用を全額負担することが助成金受給の条件となっています。

厚労省によると、エッグフォワードは2023年から2024年ごろ、191事業所から、それぞれ社員研修などの職業訓練サービス費を受け取った上で、同額を「営業協力費」の名目で事業所に送金していました。事業所は実質的に訓練費用を全額負担していないにもかかわらず、助成金を不正に受給しました。エッグフォワードと事業所は助成金を分け合い不当に利益を得ていました。

2024年4月ごろに匿名の通報があり、厚労省は調査を開始しました。エッグフォワードが事業所に虚偽の報告を指示するなど不正受給を指南していたことを確認しました。

「実質タダで儲かる」という甘い罠


エッグフォワードの不正スキームは、一見すると正規の研修契約を装っていますが、実態は「カネがぐるりと回って戻ってくる」だけの循環取引に過ぎません。

具体的には、研修契約とセットで、エッグフォワードとは全く別の「協力会社」が登場します。エッグフォワードはこの協力会社に「営業協力費」などの名目で資金を流します。そして、その協力会社から申請企業に対して、「業務委託費」や「役務提供費」といった名目で、数百万円の仕事の発注が入るのです。もちろん、実態の伴わない形ばかりの発注であるケースが大半です。

申請企業からすれば500万円を支払ったものの、裏口からすぐに300万円が戻ってくるため、実質的な持ち出しは200万円で済むことになります。

仕掛けはこれで終わりません。研修終了から半年ほど経つと、国から正式に「助成金」が振り込まれます。500万円の研修費に対する助成率は中小企業であれば高く設定されており、約60パーセントにあたる300万円ほどが給付される計算です。

「実質タダで研修が受けられるなんて、うますぎる話だと思ったんだよね」
「20億円も不正受給って、国の審査はどうなってるの」
「エッグフォワードって、経営本も出してる有名な会社じゃん」
「助成金を使えば実質負担はゼロ、このセールストークに騙された企業が多いはず」
「税金を使った制度なのに、こんな簡単に不正ができるなんて」

不正は「2度目」という確信犯


今回の事件で最も糾弾されるべきは、エッグフォワードの「再犯性」と「隠蔽体質」です。同社は2024年12月にも、東京労働局など5労働局が、同社を今回と同様の助成金不正受給に関与したとして公表していました。当時の被害額は約3000万円でした。

つまり、エッグフォワードは、自分たちの手法が危ういことを十分に認識した上で、さらに規模を拡大し、30都道府県におよぶ20億円という巨額の不正を継続したことになります。

他社に対し「組織のガバナンス」や「あるべき経営」を説くコンサルティング会社が、自ら国のルールを嘲笑い、指導を無視して「錬金術」に勤しんでいた。この二面性こそが、この事件の本質です。

「経営中毒」などの著書で知られる会社


エッグフォワードは「企業変革」「パーパス経営」「人的資本」といったビジネスマンの心を掴む美しい言葉を掲げ、多くの経営者から信頼を集めていました。同社の徳谷智史社長は「経営中毒」などの著書があり、意識の高いビジネスコンサルティングで知られていました。

また、同社はベンチャーキャピタル事業も展開しており、スタートアップへの投資も行うなど、「挑戦する人を支えるリーダー」としての地位を確立していました。まさに、イケてるエリート集団。それがエッグフォワードの表の顔でした。

しかし、その裏側で彼らが熱心に売り歩いていたのは、「社員の成長」ではなく「国の金をかすめ取る」禁断の果実でした。

自主申告した企業は社名公表を免れる


今回の事件では、191事業所が不正受給に関与していましたが、すべての事業所の社名が公表されたわけではありません。

申請事業主の社名が公表されるのは、原則として労働局の調査により不正が発覚し、かつ支給決定取消額が100万円以上の場合に限られます。しかし、労働局による調査が入る前に事業主自らが自主申告を行い、速やかに全額を返還した場合、公表を免れる可能性があります。

このため、訓練実施者の社名がまだ公表されていない時点では、訓練実施者と申請事業主の間には、潜在的な利害対立があります。訓練実施者は不正が発覚すると原則社名を公表されるので、自主申告という手段は基本的にありません。一方で、申請事業主による自主申告を妨害し、「逃げ切る」ことを望む立場にあります。

助成金制度の闇と再発防止策


今回の事件は、エッグフォワード一社だけの問題ではありません。「助成金を使えば実質負担はゼロ」というセールストークは、かつての携帯電話販売における「本体代金実質0円」や「高額キャッシュバック」と酷似しており、助成金支援ビジネスでは広く活用されてきた言葉です。

リスキリングブームに乗り、国が推奨する人材開発支援助成金の裏をかいたのが今回のスキームです。厚労省は助成金の審査を厳格にするなど再発防止を図るとしていますが、具体的な対策の詳細は明らかにされていません。

助成金制度は、本来、企業が従業員のスキルアップに投資することを支援し、日本全体の競争力を高めるための重要な制度です。しかし、その制度の隙間を突いて不正に利益を得る業者が後を絶たないのが現実です。

国は、助成金の申請時に提出される書類の真偽を確認する体制を強化し、資金の流れを追跡できる仕組みを導入する必要があります。また、不正に関与した企業や個人に対する罰則を強化し、抑止力を高めることも重要です。

今回の事件は、国の助成金制度が悪用され、税金が不正に使われていたという深刻な問題です。エッグフォワードのような確信犯的な業者を排除し、真に従業員の成長を支援する企業が助成金を活用できる環境を整備することが求められています。

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2026-02-25 17:22:29(藤田)

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