2026-01-10 コメント投稿する ▼
高額療養費制度2026年8月値上げ、受診抑制1070億円削減で批判
物価高が続く中、2026年8月から医療費の自己負担額を抑える命のセーフティネットである高額療養費制度が値上げされることが決まりました。2025年12月24日、上野賢一郎厚生労働大臣と片山さつき財務大臣の合意により、制度の見直しが決定されています。
最大38%の負担増、8割の利用者に影響
高額療養費制度は、病気やケガで医療費が高額になった時に、一定額を超えた分が払い戻される仕組みです。2023年度の利用者は821万人で、国民の15人に1人が利用しています。がんや難病患者だけでなく、骨折や盲腸、白内障の手術などで利用する人も多く、決して他人事ではありません。
今回の見直しでは、2026年8月と2027年8月の2回に分けて上限額が引き上げられます。例えば、年収260万円から370万円の世帯は、現行の月額5万7600円から2027年8月には6万9600円となり、21%の値上げです。年収650万円から770万円の世帯は、現行の月額8万100円から11万400円と、38%もの値上げになります。
高額療養費制度には、年4回以上利用すると自己負担額が大幅に下がる「多数該当」という仕組みがありますが、これに該当するのは利用者全体の2割にすぎません。つまり、制度利用者の8割の人の負担が増えることになるのです。
受診抑制で1070億円削減を見込む
今回の見直しで最も批判を集めているのが、厚生労働省が削減される給付費2450億円のうち、44%にあたる1070億円を医療費の負担増によって受診や治療を控えることによるものと見込んでいる点です。
これは「長瀬効果」と呼ばれ、制度的な保険給付率の変更に伴って患者の受診行動に変化が生じることを指します。保険数理技師の長瀬恒蔵氏が1935年に著した「傷病統計論」に由来する経験則で、厚生労働省は2022年の高齢者の医療費改革の試算でもこの効果を組み込み、実際に試算に近い形で医療費が減少したことから、高い信頼性があると考えています。
「治療費が上がったら通院回数を減らすしかない」
「がんの治療中なのに、お金が理由で諦めろと言われているよう」
「子どもの進路を変更しなければいけなくなる」
「命がかかっているのに、受診抑制を前提にするなんておかしい」
「1070億円って、何人の命が削られるんだろう」
患者団体が強く反発
全国保険医団体連合会の本並省吾事務局長は、命がかかった治療を支援する高額療養費制度の給付を削減し、機械的な計算とは言え1070億円もの受診抑制を見込んでいることを患者が知ったらどのように受け止めるか、真剣に考えてほしいと訴えています。
本並事務局長は2025年12月26日の大臣会見で、上野厚労大臣に1年前に受診抑制を見込んでいたことに大きな批判を受けたのになぜ同じことを繰り返すのかと質問しましたが、大臣は「単なる計算結果に過ぎない」と答弁しました。本並事務局長は、単なる計算結果であれば予算を修正すべきだと批判しています。
子ども・子育て支援金の財源に充当
さらに問題視されているのが、2026年4月から始まる子ども・子育て支援金制度との関係です。この制度の財源の一部は社会保険料に上乗せする形で国民全員から徴収されますが、財源の一部の700億円は高額療養費の引き上げで捻出されたお金を充てるとされています。
本並事務局長は、子育て世代の親に病気の治療を諦めさせたお金で子育て支援をするということなのか、子育て支援は国民全体で取り組むべきだからこそ税金の投入などの策を考えるべきで、国民の命のセーフティネットである高額療養費制度を犠牲にすべきではないと主張しています。
保険料軽減効果はわずか年1400円
厚生労働省は、限度額引き上げの目的の一つに現役世代の保険料負担軽減を掲げています。しかし、加入者一人当たりの保険料軽減効果は年間で1400円、月額だとわずか116円にとどまることが明らかになっています。
物価高や低賃金で経済的にも精神的にも追い詰められている子育て世代をさらに追い込むことになるとの批判に対し、政府は今後も見直し案を進める方針です。1年前に患者たちの声で凍結されたはずだった見直しが、再び国民生活に重い負担となって迫っています。
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