2025-12-25 コメント投稿する ▼
介護職員による高齢者虐待が過去最多1220件、4年連続増加で深刻化
厚生労働省は2024年12月25日、介護職員による高齢者への虐待が2024年度に1220件あったとの調査結果を発表しました。 こうした状況を受け、2024年度からは介護サービス事業所における高齢者虐待防止の新基準が完全義務化されました。
虐待の種別を見ると、暴力や身体拘束といった身体的虐待が51.1パーセントで最も多く、半数以上を占めました。次いで暴言などの心理的虐待が27.7パーセント、長時間放置などの介護放棄が25.7パーセントとなっています。
知識不足と倫理観の欠如が要因
虐待の要因として最も多く指摘されたのは「虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識不足」でした。また「倫理観や理念の欠如」「ストレスや感情のコントロール」も目立っており、介護職員の資質や教育体制の不備が浮き彫りになっています。
職員による虐待件数は、市区町村が相談や通報を受けて事実関係を確認したケースを集計したものです。2024年度の市区町村への相談・通報は前年度比5.6パーセント増の3633件となりました。増加の背景には、職員に通報を促す環境整備が進んだことがあるとみられています。
「介護施設に親を預けるのが怖くなってきた」
「虐待する人が介護の仕事してるのが信じられない」
「人手不足だからって虐待は絶対許せない」
「もっと厳しく罰するべきだと思う」
「介護職の待遇改善しないと問題は解決しない」
介護現場では慢性的な人手不足が続いており、職員一人あたりの負担が増大しています。十分な研修を受けないまま現場に配置されるケースや、ストレスを抱えたまま業務を続ける職員も少なくありません。こうした環境が虐待の温床になっているとの指摘があります。
2024年度から虐待防止措置が完全義務化
こうした状況を受け、2024年度からは介護サービス事業所における高齢者虐待防止の新基準が完全義務化されました。2021年度の介護報酬改定で虐待防止の推進が重要ポイントとして掲げられ、3年間の経過措置期間を経て本格的に義務化されたものです。
すべての介護サービス事業所は、虐待防止のための対策委員会を定期的に開催すること、虐待防止のための指針を整備すること、定期的な研修を実施すること、虐待防止の担当者を選任することの4つが義務付けられました。これらの取り組みのうち1つでも未実施の項目があると、基本報酬が減算される「高齢者虐待防止措置未実施減算」が適用されます。
重要なのは、実際に虐待が発生していない場合でも、必要な防止策が講じられていなければ減算の対象となる点です。虐待が起きてからでは遅いという考え方に基づき、予防的な取り組みが求められています。
過去のデータを見ると、2021年度に介護施設職員による高齢者虐待と認定された件数は739件でしたが、2022年度には856件、2023年度には1123件と急増しており、2024年度はさらに増加して1220件に達しました。わずか3年で約1.7倍に増えた計算になります。
介護現場の構造的問題
虐待を受けた高齢者の年齢を見ると、90歳から94歳が最も多く、次いで85歳から89歳、80歳から84歳と続きます。要介護状態区分では、要介護4が最も多く、要介護3以上が約7割を占めています。認知症高齢者の日常生活自立度2以上の人が約7割となっており、介護度が高く認知症がある高齢者が虐待を受けやすい傾向が明らかになっています。
虐待を行った職員の年齢は、40歳から49歳、60歳以上、50歳から59歳がほぼ同数で、幅広い年齢層に及んでいます。職種については、介護職が約8割を占め、看護職、施設長、管理職と続きます。
介護職員の処遇改善は長年の課題となっており、賃金の低さや労働環境の厳しさが人材不足を招いています。十分な教育や研修を受けないまま現場に配置されることで、適切なケアの方法や権利擁護の意識が不足し、虐待につながるケースも指摘されています。
厚生労働省は今後も調査を継続し、虐待防止に向けた取り組みを強化する方針です。介護の質を確保し、高齢者の尊厳を守るためには、職員への教育体制の整備とともに、介護職の待遇改善や人員配置の充実が不可欠です。虐待の増加は介護現場が抱える構造的問題を映し出しており、抜本的な対策が求められています。