2025-12-12 コメント投稿する ▼
OTC類似薬保険除外見送り政府与党方針、患者配慮で追加負担方式へ転換
政府・与党は2025年1月12日、市販薬と成分や効能が類似する「OTC類似薬」の公的医療保険からの完全除外を見送る方針を固めました。 当初、日本維新の会は年間約3500億円の医療費削減を目指し、OTC類似薬の保険適用原則除外を強く求めていました。 政府・与党は「保険外併用療養費」の仕組みを活用し、OTC類似薬に対して一定率の追加負担を患者に求める方向で調整しています。
政府・与党は2025年1月12日、市販薬と成分や効能が類似する「OTC類似薬」の公的医療保険からの完全除外を見送る方針を固めました。日本維新の会が求めていた大幅な医療費削減策は患者負担が急増するため断念し、保険適用を維持した上で追加負担を求める方向で調整に入りました。
維新の保険除外要求が頓挫
当初、日本維新の会は年間約3500億円の医療費削減を目指し、OTC類似薬の保険適用原則除外を強く求めていました。しかし厚生労働省の試算では、花粉症薬や湿布薬、総合感冒薬、解熱鎮痛薬などで患者負担が8倍から最大50倍に増加することが判明し、現実的ではないと判断されました。
OTC類似薬とは、医師の処方箋が必要な医療用医薬品でありながら、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬と同様の有効成分や効能を持つ薬剤です。現在は保険適用により患者の自己負担は1割から3割で済んでいますが、保険除外となれば全額自己負担となります。
「湿布薬が保険から外れたら家計が破綻する」
「慢性疾患で毎月薬代が必要なのに負担増は困る」
「子どもの薬代まで高額になるのはおかしい」
「医療費削減は必要だが患者にしわ寄せするな」
「セルフメディケーションを推進するなら別の方法で」
追加負担方式で妥協点模索
政府・与党は「保険外併用療養費」の仕組みを活用し、OTC類似薬に対して一定率の追加負担を患者に求める方向で調整しています。追加負担率として、薬剤費の「4分の1」「3分の1」「2分の1」といった案が検討されており、月内の合意を目指しています。
厚生労働省は患者への配慮から、副作用などのリスクが低い医薬品を見直し対象とする方針を示しました。健康増進のために特定の市販薬を購入した場合に税負担を軽減する「セルフメディケーション税制」の対象となる約20成分からの段階的な導入を提案しています。
一方、維新は約1000成分ある「市販薬と同じ使い方ができる医療用医薬品」すべてを対象にするよう要求しており、対象範囲を巡る協議が続いています。難病や慢性疾患を抱える患者への配慮措置も検討されています。
医療界から強い反対の声
日本医師会は2025年2月の記者会見で、OTC類似薬の保険適用除外について強い懸念を表明していました。宮川常任理事は「医療機関の受診控えによる健康被害」「経済的負担の増加」「薬の適正使用が困難になる」の3点を問題視し、「重大な危険を伴う政策として容認できない」と断言していました。
全日本民医連も声明で「乳幼児医療費助成制度で無料または少額負担だった地域では、高額なOTC医薬品を購入する事態が生じる」として、保険適用除外の断念を求めていました。リウマチや広範囲の皮膚炎などで長期間OTC類似薬の使用が必要な患者への影響も懸念されています。
現在の物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策です。医療費削減は重要ですが、国民の健康を損なうような施策は本末転倒と言えるでしょう。適切な医療アクセスの確保と財政健全化の両立を図る慎重な検討が求められます。
政府は2025年の通常国会に健康保険法改正案を提出する予定で、追加負担の詳細な仕組みや対象薬剤の範囲について、引き続き与党間での協議が進められる見通しです。