2025-12-08 コメント投稿する ▼
厚労省が高額療養費制度見直し案 高齢者外来負担増で現役世代保険料軽減 軽症受診適正化も課題
70歳以上の高齢者に適用される外来受診費の軽減特例を改め、自己負担を引き上げることで、高齢者医療費を支える現役世代の保険料負担を抑制する方針です。 厚労省内では、軽症患者の自己負担を段階的に引き上げることで、市販薬での自己治療を促進する仕組みの導入も検討されています。 今回の見直しにより、現役世代の保険料は1人当たり年間1300円から5300円程度軽減されると試算されています。
高額療養費制度見直し
高齢者負担増で現役世代の保険料軽減へ 軽症患者の「お薬もらいに病院」にも課題
厚生労働省は2025年12月8日、医療費の自己負担上限を定める「高額療養費制度」の見直し案を専門委員会に提示しました。70歳以上の高齢者に適用される外来受診費の軽減特例を改め、自己負担を引き上げることで、高齢者医療費を支える現役世代の保険料負担を抑制する方針です。がんや難病など長期治療が必要な患者への配慮として「多数回該当」は現行水準を維持する一方、所得区分の細分化や年間上限額の新設も盛り込まれました。
この制度見直しは、急速な高齢化と医療技術の高度化により増大し続ける医療費への対応策として位置づけられています。現在、高額療養費の総額は年々増加し、総医療費の6~7%に相当する規模まで膨らんでいます。特に現役世代の保険料負担が重くなっており、制度の持続可能性確保が急務となっていました。
見直し案の焦点となるのは、70歳以上の「外来特例」の変更です。現行制度では、高齢者の頻繁な通院に配慮し、外来診療の自己負担上限を入院よりも低く設定していますが、この優遇措置を段階的に縮小します。来年夏から順次実施される予定で、具体的な内容は来年度予算案の編成過程で決定されます。
「また医療費の負担が増えるのか。年金暮らしには厳しいな」
「現役世代の保険料が下がるのは助かるけど、親の医療費が心配」
「がんの治療中だから多数回該当が維持されるのは安心した」
「軽い風邪でも病院に行く人が多すぎる。そこも見直すべき」
「市販薬で済むものまで処方してもらうのはおかしいよ」
軽症患者の過度な受診が制度を圧迫
高額療養費制度の見直し議論では、制度本来の趣旨を逸脱した利用実態も課題として浮上しています。特に問題視されているのは、風邪や軽い捻挫など市販薬で対処できる軽症での安易な受診です。「お薬をもらいに病院へ」という感覚で処方薬を求める患者が少なくないことが、医療費増大の一因となっています。
現行の医療保険制度では、処方薬の患者負担は1~3割に抑えられているため、市販薬を購入するより安く済むケースが多くあります。例えば、市販の風邪薬が1500円程度する場合でも、病院で処方してもらえば数百円の負担で済むため、経済的な理由から病院を選ぶ患者が後を絶ちません。
しかし、この行動は結果的に医療保険財政を圧迫し、本当に高度な治療を必要とする患者や現役世代の保険料負担増につながっています。厚労省内では、軽症患者の自己負担を段階的に引き上げることで、市販薬での自己治療を促進する仕組みの導入も検討されています。
医療現場からも、軽症患者の過度な受診に対する懸念の声が上がっています。本来、医師の専門的判断が必要な重篤な患者の診療に集中すべきリソースが、軽症患者の対応に割かれることで、医療の質の低下や待ち時間の長期化といった問題も生じているのです。
現役世代の負担軽減と制度設計の課題
今回の見直しにより、現役世代の保険料は1人当たり年間1300円から5300円程度軽減されると試算されています。この効果は、外来特例の見直し幅と自己負担上限の引き上げ度合いのバランスによって決まります。厚労省は「自己負担増を大きくアップする場合には外来特例は緩やかな見直し」とし、「外来特例を大きく見直す場合には自己負担増を小さく抑える」という調整方針を示しています。
所得区分の細分化では、住民税非課税区分を除く所得区分を概ね3区分に再編成します。これにより、平均的な収入を超える層はより高い率で引き上げ、平均を下回る層は引き上げ率を緩和するという低所得者への配慮が図られます。年収約370万円から770万円の中間所得層が最も影響を受ける見込みです。
多数回該当の据え置きは、がんや難病患者団体からの強い要望を受けたものです。同じ世帯で年間4回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降の自己負担上限が大幅に引き下げられる仕組みで、継続的な高額治療が必要な患者の経済的負担を軽減する重要なセーフティネットとなっています。
一方で、年間上限額の新設は新たな救済措置として注目されます。多数回該当に該当しない長期治療患者でも、月々の支払額がかさむケースに対応するため、年単位での負担上限を設定することで、より幅広い患者層への配慮を実現しようとしています。
医療制度改革の今後の展望
今回の高額療養費制度見直しは、日本の医療制度改革における重要な転換点となる可能性があります。従来の「年齢による一律優遇」から「負担能力に応じた公平な負担」への移行は、全世代型社会保障制度の構築という政府方針の具体化でもあります。
しかし、高齢者の医療費負担増加は、受診控えによる健康状態の悪化や、重篤化による医療費のさらなる増大といった逆効果をもたらすリスクも指摘されています。特に、予防的な外来受診の減少が、結果的に入院医療費の増加につながる可能性については、慎重な検討が必要とされています。
軽症患者の適正受診についても、単純な負担増だけでは根本的解決にならないとする見方もあります。かかりつけ医制度の充実や、セルフメディケーション(自己治療)の推進、薬局での健康相談機能の強化など、包括的な取り組みが求められています。
来年の通常国会では、この制度改革をめぐって激しい論戦が予想されます。高齢者団体や患者団体からの反発が強まる一方、現役世代や経済界からは負担軽減を評価する声も上がっており、政治的な対立軸となる可能性があります。厚労省は国民の理解を得ながら、持続可能な医療制度の構築に向けた調整を続けていく方針です。
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