2025-12-02 コメント投稿する ▼
医療・介護の冬ボーナスが減少 現場崩壊の危機を突きつけられた冬
医療・介護の報酬は、国が定める診療報酬・介護報酬をベースにしており、そこで支払われる「公定価格」で制度運営が成り立っています。 そのため、仮に物価が急騰しても、診療報酬や介護報酬の改定がなければ、医療・介護提供者の実質的な収入は下がりやすいのです。 結果として、ボーナス削減や人員削減、あるいはサービス量の維持困難という事態につながっています。
ボーナス平均が前年比ダウン
全国の医療・介護現場で働く職員を対象とする 日本医療労働組合連合会(日本医労連)の調査によれば、2025年冬の一時金(ボーナス)平均支給額は 45万6920円 となり、前年から 2万3672円の減少 となりました。これは全国301組合の回答をまとめた結果で、医療・介護従事者の処遇の厳しさが改めて可視化された形です。
首都圏の状況も厳しく、 東京地方医療労働組合連合会(東京医労連)の集計では平均54万6229円で、前年比7262円の減少でした。いずれも支給は減額傾向にあり、「やりがい」で続けるには限界との声が現場から上がっています。
現場からの悲鳴と医療体制の危機
このボーナス減少の背景には、医療機関や介護施設を取り巻く経営環境の悪化があります。物価高や人手不足でコストが上がる一方、診療報酬や介護報酬は十分に改定されず、収支は圧迫されています。そのため給与やボーナスの削減が現実となっていると、関係者は指摘します。
現場からは苦しい声があがっています。ある介護職員は「現場はギリギリの状況で働いている。もうやりがいだけでは続けられない」と漏らしました。実際、労働組合の会見では次のような声が紹介されました。
「やりがいだけでは暮らせない」
「ボーナス減で将来が不安」
「国は報酬をもっとあげてほしい」
「この待遇で人が足りるはずがない」
「介護の仕事って、もっと尊重されるべきだ」
ボーナスの減少は、「医療崩壊」「介護崩壊」のリスクを現実のものとします。実際、ある病院では過去1年で看護師58人が退職する事態に陥っており、一人ひとりの負担が増す「負の連鎖」が生まれているとの報告もあります。
さらに、勤務実態の厳しさも明らかになっており、ある病院では定員18人の病棟を12人の看護師で対応する状況があるといいます。これでは患者との対話やケアに十分な時間は割けません。特養(特別養護老人ホーム)では、45人の利用者に対して必要なケアを時間通りに行うため、余裕など全くないという訴えもありました。
制度的な背景と評価
医療・介護の報酬は、国が定める診療報酬・介護報酬をベースにしており、そこで支払われる「公定価格」で制度運営が成り立っています。つまり、民間企業のような自由な価格設定はできず、社会保障や財政の枠組みによって賃金がコントロールされやすい構造です。そのため、仮に物価が急騰しても、診療報酬や介護報酬の改定がなければ、医療・介護提供者の実質的な収入は下がりやすいのです。
この構造により、現場は利益追求よりも公益性・公的サービスとしての役割を求められ、価格転嫁が困難なままコスト増に耐えるしかありません。結果として、ボーナス削減や人員削減、あるいはサービス量の維持困難という事態につながっています。
求められる対応と今後の焦点
このままでは、医療・介護の現場はさらに疲弊し、人材の流出やサービス水準の低下に拍車がかかります。現場を守り続けるためには、以下のような対応が不可欠と考えられます。
まず、政府・関係機関による診療報酬および介護報酬の抜本的見直しが必要です。コスト上昇分をきちんと反映し、現場の待遇改善につなげることこそが、医療・介護の根幹を守る鍵です。
次に、従事者の賃上げと人員増。単なるボーナス回復だけでなく、安定的な収入と適切な人員配置、労働環境の改善が求められます。
そして、国民にも理解を促す必要があります。医療や介護を「サービス」として捉えるのではなく、「社会インフラ」として、財政的な支えや制度的な支援を受け止める姿勢が重要です。
私の考えとしては、医療・介護は税金や保険制度に支えられた社会サービスであり、いまはまさに制度の根幹が問われる時です。国は「一時しのぎ」ではなく、中長期の視点で処遇改善と制度改革に取り組むべきです。さもなければ、命や暮らしを支える現場は崩れかねません。