2025-12-03 コメント投稿する ▼
訪問介護 倒産最多 過去85件 経営困難と報酬減が直撃
2025年12月3日、民間調査会社 東京商工リサーチ(TSR)が公表した調査によると、2025年1月から11月末までに「訪問介護」を主力とする事業者の倒産件数が85件に達した。 特に背景には、2024年4月に実施された報酬改定で、訪問介護の基本報酬が2~3%引き下げられたことがある。
過去最多85件——訪問介護事業者の倒産が加速
2025年12月3日、民間調査会社 東京商工リサーチ(TSR)が公表した調査によると、2025年1月から11月末までに「訪問介護」を主力とする事業者の倒産件数が85件に達した。これは、昨年1年間の倒産81件(2024年)をすでに上回り、3年連続で年間最多を更新する異例の事態となった。
都道府県別で最も多かったのは大阪府の12件。続いて東京都10件、北海道8件、神奈川県6件という分布であった。
倒産の原因――報酬引き下げ、コスト高、人手不足の三重苦
倒産理由をみると、71件(構成比83.5%)が売上不振、つまり「収入が得られなくなったこと」を原因として挙げている。TSR は、ヘルパー不足、介護報酬の引き下げ、さらに 人件費や燃料費、光熱費といった運営コストの高騰という三重の圧力が、事業者を追い詰めたと分析している。
特に背景には、2024年4月に実施された報酬改定で、訪問介護の基本報酬が2~3%引き下げられたことがある。これが多くの中小・零細事業者の収支を圧迫した。
また、従業員10人未満の小規模事業所が圧倒的に多く、今回の倒産でも多数を占める。だが、負債1億円以上の中堅規模事業者の破綻も起きており、業界全体に倒産の波が広がりつつある。
背景――事業所数は増えるが“供給力”は低下
一方で、訪問介護事業所の数自体は増えており、2025年4月時点で請求事業所数は約3万5,497か所と、過去最多を更新している。これは高齢化の進展や都市部でのニーズの拡大が背景だ。
だが、事業所数が増えても、実際にサービスを提供できる供給力は低下している。理由は、ヘルパーの不足と報酬低迷で多くの事業者が採用や維持に苦しんでいるためだ。ある地域では、「利用者は多いのに、人手が足りず受け入れられない」という事態が起きている。
業界専門家は、今回の倒産増は単なる小規模事業者の淘汰にとどまらず、地域包括ケアにおける「供給力の地盤沈下」を示す警告だと警鐘を鳴らす。
今後の焦点――支援策と“介護難民”の懸念
こうした事態を受けて、政府は11月に閣議決定した総合経済対策で、訪問介護事業者への支援やヘルパーの処遇改善などを盛り込んだ。賃上げや職場環境の改善、燃料費高騰への補助などが想定されている。
ただし、TSRは支援があっても、現状のような物価高と人手不足、報酬切り下げが続く限り、倒産増加に歯止めがかかるかは不透明だと指摘する。
今後の補助金の使い道や報酬改定のあり方、そして人材確保策が鍵になる。もし支援が不十分なら、地域での訪問介護の受け皿が減り、「介護難民」と呼ばれる、高齢者や障害者が必要なサービスを受けられない事態が現実味を帯びてくる。