2025-11-25 コメント投稿する ▼
厚労省が受動喫煙対策見直し議論開始 加熱式タバコ規制強化も視野
この5年間で受動喫煙を巡る状況は大きく変化しており、特に加熱式タバコの利用拡大と健康影響に関する研究の蓄積が議論の焦点となっています。 見直し議論の背景には、加熱式タバコによる健康影響に関する研究成果の蓄積があります。 2024年に実施された厚生労働科学研究「加熱式タバコの能動喫煙・受動喫煙の健康影響に関する総合的検証研究」では、重要な知見が得られています。
改正健康増進法 施行5年の転換期
加熱式タバコも受動喫煙規制の対象へ 厚労省が見直し議論開始
2020年4月の改正健康増進法施行から5年が経過し、厚生労働省は受動喫煙対策の抜本的な見直し議論を開始しました。これまで例外扱いされてきた加熱式タバコについても、新たな研究結果を踏まえて規制強化が検討されることとなりました。
改正健康増進法施行から5年の検証が本格化
改正健康増進法は2020年4月に全面施行され、多くの人が利用する施設での受動喫煙防止対策が本格化しました。法律では学校や病院などの第一種施設を敷地内禁煙とし、飲食店やホテルなどの第二種施設を原則屋内禁煙と定めています。
しかし、紙巻きタバコの喫煙には専用室が必要とされる一方、加熱式タバコについては健康影響のデータが不十分として、分煙されていれば飲食を伴う喫煙が認められてきました。改正法の附則には、施行から5年を経過した段階での検討条項が盛り込まれており、今回の見直し議論はこれに基づくものです。
この5年間で受動喫煙を巡る状況は大きく変化しており、特に加熱式タバコの利用拡大と健康影響に関する研究の蓄積が議論の焦点となっています。
「加熱式タバコなら安全だと思っていたのに、規制されるなんて」
「飲食店でやっと分煙できていたのに、また厳しくなるの?」
「受動喫煙の害がはっきりしたなら、当然規制すべきでしょ」
「喫煙者にとって、どんどん肩身が狭くなる」
「子どもの健康を考えたら、全面禁煙が理想」
加熱式タバコの健康影響研究で新知見
見直し議論の背景には、加熱式タバコによる健康影響に関する研究成果の蓄積があります。2024年に実施された厚生労働科学研究「加熱式タバコの能動喫煙・受動喫煙の健康影響に関する総合的検証研究」では、重要な知見が得られています。
調査結果によると、過去1か月間に加熱式タバコによる受動喫煙を受けた人は全体の37.3%、非喫煙者の29.1%に上ることが判明しました。さらに、熊本大学の研究では、加熱式タバコを吸う父親がいる家庭で、家族の尿中からニコチン代謝物が検出され、受動喫煙のリスクが実証されています。
横浜市立大学の研究グループは、アイコス(イルマ)のタバコスティックからの抽出物に、がん細胞の増殖に関係する物質が含まれていることを報告しており、加熱式タバコの毒性についても従来の認識を覆す研究結果が相次いでいます。
日本学術会議は2023年の報告書で、加熱式タバコの有害性について明確な警告を発しており、国際的にも米国や英国では厳格な規制が導入されています。
国際基準からの遅れと政策課題
世界保健機関(WHO)が2022年に発表した日本のタバコ対策評価では、受動喫煙対策は「可(最小限の対策)」、広告規制は「不可」という厳しい評価を受けています。特に加熱式タバコを例外扱いしている現状は、国際基準からの大幅な遅れとして指摘されています。
現行制度では、加熱式タバコ専用の喫煙室では飲食が認められており、完全な受動喫煙防止が実現していません。これは、たばこ規制枠組条約で求められている屋内全面禁煙の理念とも乖離している状況です。
また、既存の小規模飲食店については2025年をめどとした見直しが予定されており、大阪府では2025年4月から独自の受動喫煙防止条例により、より厳格な規制が導入される予定です。こうした自治体レベルでの先行した取り組みも、国レベルでの見直し議論を後押ししています。