2025-11-11 コメント投稿する ▼
厚労省「もにす認定制度」見直しで大企業も対象に、質向上重視へ評価基準を客観化
厚生労働省は2025年11月11日、障害者雇用の質向上を目指し、中小企業向けの「もにす認定」制度の見直し案を発表しました。 現在、「もにす認定」は障害者雇用の促進や雇用の安定に関する取組の実施状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度として2020年4月から実施されています。
中小企業向けから全企業対象への拡大
現在、「もにす認定」は障害者雇用の促進や雇用の安定に関する取組の実施状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度として2020年4月から実施されています。2025年6月30日時点で認定事業主は545社となっており、着実に拡大を続けています。
厚労省は11日、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会で、対象を従業員300人以下の中小企業から、大企業も含む全企業に拡大する案を示しました。これまで中小企業のみに限定されていた同制度を、障害者雇用のさらなる推進を図るため、企業規模の制限を撤廃する方針です。
「もにす認定の対象拡大は企業規模を問わず障害者雇用を推進する良い取り組みだ」
「大企業も含めることでより多くの企業が質の高い障害者雇用に取り組むきっかけになる」
「認定制度の見直しは必要だが、中小企業への負担増にならないよう配慮してほしい」
「客観的な評価基準への変更で企業間の比較がしやすくなるのは良いことだ」
「OJTなど具体的な取り組みが評価されるようになれば、より実効性が高まるはず」
評価基準の客観化と質重視への転換
現行制度では、「満足度・ワークエンゲージメント」項目について企業側が自己評価していましたが、厚労省はより客観的で統一性のある内容への変更を提案しました。新基準では、障害者雇用の質で重視する要素として、OJT(職場内訓練)などにより障害者が能力を発揮できるよう促し、その成果を事業に生かして正当に評価することを明確化しました。
さらに、障害特性に配慮した雇用管理を行い、安定的に働けるようにすることも重要な評価要素として位置付けられます。これらの要素は障害者雇用促進法に新たに規定され、具体的な実践方法についてはガイドラインの作成が検討されています。
法定雇用率への影響は回避
一方で厚労省は、質の評価結果については法定雇用率の算定には反映させない考えも併せて示しました。これは、質の向上への取り組みが雇用率制度に直接的な影響を与えることで、企業の負担が過度に増加することを避ける狙いがあります。
財政支援の充実も検討
質を高める取り組みには企業負担が伴うため、厚労省は障害者雇用納付金制度における報奨金や助成金の活用も提案しています。これにより、企業が質の高い障害者雇用に取り組みやすい環境整備を図る方針です。
現在のもにす認定では、取組5点以上、成果6点以上、情報開示2点以上の合格最低点を達しつつ、合計で50点満点中20点(特例子会社は35点以上)の獲得が必要ですが、見直し後はより質的な要素を重視した評価体系に変更される見込みです。
研究会では年末の取りまとめを目指し、今後も議論を継続する予定です。この見直しにより、企業の障害者雇用がより質の高いものへと発展し、障害者の能力発揮と安定就労の実現が期待されます。