古屋圭司が提案 日本版ウイグル強制労働防止法案の検討状況

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古屋圭司が提案 日本版ウイグル強制労働防止法案の検討状況

古屋圭司・自民党選対委員長は11日、超党派議連「日本ウイグル国会議員連盟」が立ち上げたプロジェクトチーム(PT)を通じて、中国・新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する米国の「ウイグル強制労働防止法」を踏まえ、日本版の類似法案を議員立法として国会提出を目指す考えを表明しました。

日本が検討する「日本版ウイグル強制労働防止法案」の現状と課題


古屋圭司・自民党選対委員長は11日、超党派議連「日本ウイグル国会議員連盟」が立ち上げたプロジェクトチーム(PT)を通じて、中国・新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する米国の「ウイグル強制労働防止法」を踏まえ、日本版の類似法案を議員立法として国会提出を目指す考えを表明しました。

この動きは、日本政府が公式に中国のウイグル自治区における人権状況に深刻な関心を示してきたなかで、初めて強制労働由来の製品流通を国内法で規制する検討にまで踏み込んだという意味で注目されます。

米欧に続く法制度整備の流れ


米国では2022年6月、ウイグル強制労働防止法(米)が施行され、ウイグル人など少数民族の強制労働による製品の輸入を禁止する体制が確立されています。欧州でも強制労働を伴う生産物の流通規制を進めています。これを受け、日本でも海外からの部品・原材料を通じて日本企業が「ウイグル由来の強制労働」に加担するリスクを最小化する動きが出てきました。実際、民間側では日本企業がウイグル地域とのサプライチェーンでリスクを抱えているとする報告があります。

日本政府も2022年の外交青書で、中国・新疆ウイグル自治区の人権状況について「懸念を表明」しています。

今回の法案検討は、この流れのなかで「実効的な規制手段を日本側も整備すべきだ」とする議員側の判断に基づくものです。

議連会合でのウイグル側の訴えとその影響


議連が開いた総会では、亡命ウイグル人組織である世界ウイグル会議(本部ドイツ)の総裁 トゥルグンジャン・アラウドゥン 氏が来日し、議連側に以下の3点を要望しました。

① 日本に帰化したウイグル人の親族や日本で留学経験のある学者の生存確認。
② ウイグル人強制労働に関わる製品の輸入禁止。
③ 海外のウイグル難民の保護。

古屋氏はこれを受けて「政府側に申し入れを行う考え」を示しています。アラウドゥン氏は「ウイグルジェノサイドは現在進行形だ。中国政府は終わらせたわけでも、責任を取ったわけでもない。ウイグル問題をなかったかのようにしている」と述べ、独立・透明な国際調査の必要性を訴えました。

制度設計と現実的なハードル


日本版法案を検討するにあたって、少なくとも以下の制度設計論点が浮上しています。

・どの範囲の「輸入品」を対象とするか(原材料、部品、中間財、完成品)。

・企業の責任範囲やサプライチェーン・デューデリジェンス(人権デューデリジェンス)の義務化。日本政府もビジネスと人権に関する国家行動計画(NAP)を策定し、企業の供給網における人権リスクへの対応を促しています。

・制裁・禁止違反者に対する罰則や行政処分、あるいは関税・輸入差止めのメカニズム。

・中国との外交・経済関係との兼ね合い。日本政府は従来、「対話と協力」を基本方針としてきたため、強硬措置には慎重との指摘があります。

これらを考えると、制度化までには相当の調整が必要であり、法案成立後も実効性を確保するためには運用面での仕組みづくりが鍵になります。

評価と政治的観点からの解釈


今回の議員立法というアプローチは、政府部内での検討を踏まえたうえで議会側主導で法整備を進めようという動きと解されます。議員側が法案を主導し、行政に働きかける構図です。

なお、私の立場から見ると、企業・団体献金の問題や減税優先の観点から、このような人権保護法制を進める際には「企業活動に過度の負担をかけず、国益と人権を両立させる設計」が不可欠です。単なる制裁発動ではなく、国内企業のサプライチェーン整備支援や、国際戦略との整合性を持たせるべきです。さらに、輸入禁止措置を導入する以上、減税政策とリンクさせて国内産業を守るという減税優先の方針とも整合性を意識すべきでしょう。安全保障・人権・経済政策を包括的に捉える必要があります。

また、企業・団体献金への批判的視座を持つならば、この法案が産業界の影響下で形骸化しないよう、透明な立法過程と独立性確保に注目すべきです。

今後の展望と注目点


この「日本版ウイグル強制労働防止法案」検討がどこまで進むかは、次のポイントが鍵となります。

・法案の骨子がいつ議員立法として提出されるか。古屋氏率いる議連PTが今後どれだけ設計をまとめるか。

・政府・関係省庁との調整状況。中国との経済関係を抱える中で強硬措置をとるリスクもあり、内部調整が難航する可能性があります。

・企業側の対応。サプライチェーンのどこにウイグル由来の強制労働リスクがあるか、企業が把握・改善できる体制を整備できるか。過去に日本企業にもウイグル地域との関係で疑義を指摘された事例があります。

・実効性確保のための監査・輸入差止め・制裁の仕組み。さらに、国内企業の負担を軽減しつつ人権尊重を確実にする運用策が求められます。

・国際的な連携。米欧で同種の規制が始まっており、日本が追随するだけでなく、アジアの中で一歩先を行く人権対応を示せるか。

結論として、今回の議員立法検討は、国際社会の人権規制強化の流れを受けたものであり、日本が「対話と協力」中心の人権外交から規制を伴う実効的措置へ踏み出す兆候と言えます。とはいえ、制度設計・企業負担・日中関係・実効性という複数のハードルが存在し、法案成立・運用へ向けては慎重な調整が不可欠です。今後、国内議論の進展と企業・行政の準備状況を注視する必要があります。

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2025-11-12 10:33:39(植村)

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