2025-11-07 コメント投稿する ▼
岡田克也氏が枝野発言を事実上否定、立民の安保法制混乱が表面化
一方、野田佳彦代表は同日の記者会見で、安保関連法を巡り「違憲部分の廃止」を明記している党の基本政策は当面変更しない意向を示し、党内の混乱収拾を図りました。 枝野氏は集団的自衛権を限定的に容認する安全保障関連法について「10年たって違憲部分はない」と明言し、「個別的自衛権の範囲内で説明できる」との考えを示しました。
立憲民主党の岡田克也元幹事長は2025年11月7日の衆院予算委員会で、平成27年に成立した安全保障関連法について高市早苗首相と論戦しました。立民内では安保関連法を巡り、枝野幸男元代表が「違憲部分がない」と容認する発言をして波紋が広がっており、岡田氏としては改めて党の方針を示す狙いがあったとみられます。
岡田氏は安保関連法成立時に民主党代表として反対の先頭に立った立場から、「存立危機事態の概念が曖昧」であると改めて指摘し、運用次第では「憲法違反になる」と訴えました。これは枝野氏の「違憲部分はない」との発言とは明確に異なる立場を示したものです。
一方、野田佳彦代表は同日の記者会見で、安保関連法を巡り「違憲部分の廃止」を明記している党の基本政策は当面変更しない意向を示し、党内の混乱収拾を図りました。
枝野発言が招いた立民内部の深刻な対立
立民の混乱の発端は、党創業者である枝野氏が今年10月25日にさいたま市内での講演で行った発言です。枝野氏は集団的自衛権を限定的に容認する安全保障関連法について「10年たって違憲部分はない」と明言し、「個別的自衛権の範囲内で説明できる」との考えを示しました。
この発言は立民の基本政策「安保関連法の違憲部分を廃止する」と真っ向から矛盾するものでした。党内では困惑と批判の声が上がり、「創業者が党の根幹政策を否定するのか」との声も出ていました。
国民民主党の玉木雄一郎代表は枝野氏の発言を評価し「もう少し早く言ってくれれば連携できた」と述べるなど、野党間の連携にも影響を与える事態となっています。
「枝野さんの発言は理解できない」
「党の方針と正反対じゃないか」
「安保法制反対で戦ってきたのに何だったのか」
「野田代表はしっかりと党を統制してほしい」
「もう立憲民主党は信用できない」
岡田氏の質疑は党方針の再確認
岡田氏は予算委員会質疑で、安保関連法成立当時を振り返り「従来の個別的自衛権では対応できない事例があることは認識していた」としながらも、「憲法学者らが違憲との疑義を呈したため反対した」と説明しました。
特に存立危機事態の認定や運用について「非常に幅広い裁量の余地を政府に与えてしまうことになる」と指摘し、安保関連法について直ちに違憲とは言わないものの、運用次第では憲法違反になると強調しました。
岡田克也氏は1953年生まれの71歳で、三重県選出の衆議院議員12期目です。通産官僚出身で、外務大臣や副総理、民主党代表などの要職を歴任し、立民では常任顧問を務めています。イオングループ創業者の岡田卓也氏の息子で、政界きっての政策通として知られています。
党ベテランは岡田氏の質疑について「枝野氏とは違う主張だ」と解説し、党内の路線対立が表面化した形となりました。
野田代表、党内統制に苦慮
野田佳彦代表は記者会見で安保関連法について「違憲部分の廃止」を明記している党の基本政策を当面変更しないと明言しました。これは枝野氏の発言を事実上否定し、党の従来方針を維持する姿勢を示したものです。
しかし、党創業者である枝野氏の影響力は依然として強く、野田代表の統制力が問われる事態となっています。立民内部では「枝野氏の発言は個人的見解」との声がある一方、「党の根幹に関わる問題だ」との批判も根強く、完全な収拾には時間がかかりそうです。
この問題は立民の安全保障政策の一貫性を揺るがすものとなっており、次期参院選や衆院選への影響も懸念されています。野党第一党としての求心力を維持できるかが野田代表の手腕にかかっています。
立民は今回の件を受けて、党の政策決定プロセスの見直しや、元代表の発言に対するガイドライン策定なども検討課題となりそうです。安保関連法を巡る党内の混乱は、政権交代を目指す立民にとって大きな試練となっています。