2026-02-03 コメント投稿する ▼
農林水産省がコーシャ食品輸出支援セミナー、3兆円市場への参入支援
農林水産省が2026年2月9日にオンライン形式でコーシャ食品輸出支援セミナーを実施することが明らかになりました。ユダヤ教の食事規定に準拠したコーシャ食品の市場規模は年々拡大しており、日本の食品事業者にとって新たな輸出機会となることが期待されています。
農水省がコーシャ食品輸出セミナーを開催
農林水産省は2026年度輸出環境整備推進事業の一環として、ハラール及びコーシャ認証制度の調査と普及事業を実施しています。今回のセミナーはハラール及びコーシャ市場への輸出拡大を目指す事業者を対象に、全2回に分けて実施される予定です。
コーシャ食品輸出支援セミナーでは、多様な消費者層からの関心とニーズが高まるコーシャ食品に焦点を当て、コーシャの基礎知識や認証制度、現地市場の最新動向を専門家による解説とともに紹介します。事務局は株式会社サーベイリサーチセンターが担当します。
対象となるのはコーシャ市場への輸出を検討している国内の食品生産、加工、卸事業者などです。プログラムには主催者挨拶のほか、ヤマミズラ株式会社によるコーシャ市場の概況と認証取得関連の基本情報、在イスラエル大使館とジェトロテルアビブ事務所による現地コーシャ市場の最新動向などが含まれています。
コーシャ市場は3兆円超の規模に成長
コーシャとはユダヤ教の食事規定であるカシュルートに準拠した食品市場を指します。ユダヤ教の聖典には食べてよい食品と食べてはいけない食品が厳格に定められており、約5000年前から守られてきた食のルールです。
世界のコーシャ食品市場規模は2022年に219億1000万米ドル、約3兆2865億円を記録し、2031年には298億6000万米ドル、約4兆4790億円に達すると推定されています。2023年の市場規模は日本円で3兆円を超えるとの調査もあり、年間13パーセント前後のペースで成長を続けています。
「ユダヤ教の規定なんて日本には関係ない」
「輸出支援より国内農業を守ることが先では」
「税金使って特定の宗教向け支援とは違和感がある」
「市場規模は大きいけど日本の食品が本当に受け入れられるのか」
「ハラールもコーシャも対応が大変そうで中小企業には難しい」
ユダヤ教徒以外にも広がる需要
興味深いことに、コーシャ市場の売り上げの80パーセントは非ユダヤ教徒によって占められています。イスラム教徒やベジタリアン、食品アレルギーを持つ人、食の安全性を重視する人など、様々な消費者層がコーシャ食品を選択しています。
コーシャ認証は原材料から製造過程、機械の洗浄方法まで厳しく審査され、その後も決まりがきちんと守られているか繰り返し点検が行われます。このため、食の安全と品質の保証として、ユダヤ教徒以外にも広く受け入れられています。
実際、コカ・コーラ、ネスレ、ゴディバといった欧米の食品大手がコーシャ認証を取得しており、ウォルマートやコストコなどの大手小売店の自社ブランド製品、スターバックスコーヒーなどの大手飲食チェーンにもコーシャ認証を取得した製品が多く並んでいます。
日本企業約150社が認証取得済み
日本でも日本酒、コメ、日本茶などを扱う約150社が米国や欧州向けの製品でコーシャ認証を取得しています。有名な例としては、日本酒の獺祭で知られる旭酒造が2011年に認証を取得し、ユダヤ教徒以外の欧米市場での拡販に成功しています。
また、加藤吉平商店は清酒と焼酎の梵で2014年に認証を取得しました。コーシャ認証では酒類の提供が認められているため、イスラム教のハラール認証では対応できない日本酒や焼酎の輸出においても有効な手段となっています。
農林水産省は2030年度までに農林水産物と食品の輸出額5兆円という目標を掲げています。2024年度の輸出額は1兆5000億円にとどまっており、目標達成には新たな市場開拓が不可欠です。コーシャ市場への対応は、その重要な柱の一つと位置づけられています。
一方で、認証取得には手間と時間、費用がかかるという課題も存在します。また、認証機関は世界に1400以上あり、その知名度や認証費用にも差があるため、事業者は適切な認証機関の選択にも慎重になる必要があります。
日本企業が強みとする食の安全性とコーシャ認証を組み合わせることで、製品の輸出時に付加価値を高める可能性があると専門家は指摘しています。今回のセミナーは、そうした可能性を探る第一歩となるでしょう。