2025-12-08 コメント投稿する ▼
首都圏28市区が指摘、おこめ券配布の難しさと疑問点
多くの自治体は、政府の推奨するおこめ券配布に対して消極的な態度を示しているのです。 こうした意見は、物価高対策としてより柔軟で効果的な方法を求める自治体の立場を反映しています。 このように、政府が推進するおこめ券配布に対して、自治体からはその必要性や効果に疑問を呈する意見が多く、事務的な負担や経費が大きな障壁となっています。
「おこめ券」を巡る自治体の難色
政府が進める経済対策の一環として、全国に配布される予定の「おこめ券」に関して、首都圏28市区に取材した結果、これを配布すると明言した自治体はゼロでした。おこめ券はコメの購入に充てられるが、各自治体からは配布に対する慎重な意見や疑問の声が上がり、事務負担や政策効果に対する懸念が浮き彫りになっています。
事務負担と経費がネック
取材の結果、東京都23区や首都圏3県の県庁所在地、政令指定都市の担当者が答えた内容は、ほとんどが「検討中」や「未定」というものでした。練馬区の担当者は「国の補正予算案の成立が未定の段階で、具体的なことは言えない」とし、配布を決定した自治体は一つもありませんでした。
さらに、配布に際して懸念されるのが、膨大な事務負担とそのためのコストです。世田谷区の担当者は、「おこめ券を配布するためには、発送事務の増加とスケジュール管理が必要となり、現実的な負担が大きい」と語りました。このように、多くの自治体は、政府の推奨するおこめ券配布に対して消極的な態度を示しているのです。
政策効果への疑問
また、政策効果に対する懸念も指摘されています。ある自治体の担当者は、「おこめ券は全国共通券であるため、他の地域で使用される恐れがあり、効果的な対策となるか疑問」との声を上げました。さらに、川崎市は「利益誘導になる可能性があるのではないか」とし、配布の是非を慎重に検討しているとしています。
江戸川区は、おこめ券の配布を見送る方針を示し、代わりに住民税非課税世帯への現金給付を行う方向で議会に提案しています。担当者は「現金給付であれば使い道が柔軟で、物価高対策として合理的だ」と説明しました。
現金給付を選択する自治体
一部自治体では、現金給付を推奨する意見も強く、特に中野区は交付金の使途について「現金給付を検討している」としています。現金は、使用目的に制限がないため、住民が自由に必要な物を購入できる点が支持されています。
流通経済研究所の折笠俊輔氏は、「コメに限らず、値上がりしているのは食品全般であり、地域振興券のように広範囲に使える給付方法の方が適切だ」と指摘しています。こうした意見は、物価高対策としてより柔軟で効果的な方法を求める自治体の立場を反映しています。
配布のコストと独自配布の事例
一方、台東区は独自におこめ券の配布を決定していますが、そのコストは2億4000万円にのぼるとされています。この高額なコストに対して、他の自治体からは慎重な反応が続いている状況です。
このように、政府が推進するおこめ券配布に対して、自治体からはその必要性や効果に疑問を呈する意見が多く、事務的な負担や経費が大きな障壁となっています。現金給付を選択する自治体が増えていることは、より柔軟で効果的な対策を求める声を反映しています。