2025-11-18 コメント投稿する ▼
広島県養殖カキ大量死、鈴木憲和農水相が現地視察へ
鈴木大臣は18日の閣議後記者会見で、「被害状況の把握と支援をしっかりやりたい」と語り、19日に東広島市の養殖場を訪問して関係者と意見交換する方針を明らかにしました。 鈴木大臣自身も「海洋環境を完全にコントロールすることは難しい」と語る一方で、「漁業者への打撃を和らげるよう、しっかり対応したい」と述べ、被害の拡大に懸念を示しています。
広島県・養殖カキ大量死問題、鈴木憲和農水相が現地視察へ
養殖カキの一大産地である広島県で、異常な大量死が相次いでいることを受け、鈴木憲和農林水産大臣が対応に乗り出しました。10月に水揚げが始まった養殖カキで、6~9割に及ぶ死滅が報告されており、漁業者の打撃は深刻です。鈴木大臣は18日の閣議後記者会見で、「被害状況の把握と支援をしっかりやりたい」と語り、19日に東広島市の養殖場を訪問して関係者と意見交換する方針を明らかにしました。
被害規模・状況
広島県東広島市や呉市の海域では、養殖中のカキが6割~9割死んでいるという報告があります。また、岡山県や兵庫県の一部区域でも、水揚げ直前の養殖カキで被害が確認されており、単一県域の問題にとどまらない広域的な影響が懸念されています。
養殖現場では「例年の売上が2~3割になる」という声も出ており、地域の漁業・水産加工業が厳しい局面に立たされているという指摘があります。
原因の手がかりと政府の見解
現在、正確な原因は特定されていません。広島県の水産海洋技術センターなどの調査では、雨が少なかったことによる海水の塩分濃度上昇や、9月の海水温が平年より平均で2.4℃高かったことなどが“へい死”(原因不明の死滅)を引き起こした可能性として挙がっています。
鈴木大臣自身も「海洋環境を完全にコントロールすることは難しい」と語る一方で、「漁業者への打撃を和らげるよう、しっかり対応したい」と述べ、被害の拡大に懸念を示しています。
政府・自治体の対応と焦点
鈴木大臣は19日に東広島市の養殖場を訪れ、現地視察と養殖業者との意見交換を予定しています。これに先立ち、広島県の知事も「本場の県としてしっかり支えていきたい」として、国の財政支援の検討を表明しています。
焦点となるのは、被害の全体像の早期把握と、漁業者・養殖業者に対する支援策の迅速な提示です。例えば、被害状況を確認するための緊急調査、死滅したカキの回収・分析、塩分・水温など海洋環境のモニタリング強化、売上減少に伴う経営支援などが検討されるべき課題です。
課題とリスク
一方で、課題も少なくありません。原因が明確にならなければ、同様の被害を防ぐための根本対策が打てません。さらに、養殖業者側には設備更新や作業見直しの負担が生じる可能性があり、追加の経済的支援が求められます。加えて、被害が複数県域にまたがることで、対応のルール統一や支援の公正性確保が難しくなるおそれもあります。
広島県産養殖カキの大量死問題は、単なる農水産業の一部被害ではなく、地域経済・雇用・食文化にまで波及し得る深刻な事態です。鈴木憲和農水相が自ら現地に足を運んだのは、被害の実態を肌で把握し、迅速な支援につなげるための意思表示といえます。今後は、原因究明とともに漁業者が安心して養殖事業を継続できる体制の構築が不可欠です。