2025-11-04 コメント: 1件 ▼
鈴木憲和農水相「林地取得国籍把握へ」だが日本法人経由の外国資本問題は未解決
最も問題視されているのが、日本法人を経由した実質的な外国資本による支配です。 外国資本による土地取得を効果的に把握するには、取得する法人の株主構成や最終的な実質支配者の調査が不可欠です。 現行制度では、日本法人が土地を取得する場合、その法人の株主が外国人や外国企業であっても把握が困難です。 諸外国では外国資本による土地取得に厳格な規制を設けています。
個人情報だけでは限界露呈
鈴木憲和氏は「外国人による土地取得は国民の関心の高い問題。農水省として、首相の指示に従い速やかに検討を進める」と述べました。農地では既に取得許可の申請書で国籍記入を求めており、林地でも同様の仕組みを想定しているとみられます。
しかし専門家からは、外国人個人の情報把握だけでは実効性に疑問との声が上がっています。現在指摘されているのは、外国人が株主や出資者となっている日本法人が土地を取得するケースです。この場合、登記上は日本法人の所有となり、外国資本の関与が見えにくくなります。
「個人の国籍確認だけでは意味がないのでは」
「日本法人を使った迂回取得が問題になっているのに」
「実質支配者の調査が必要だと思います」
「株主構成まで調べないと抜け道だらけです」
「根本的な解決にならない気がします」
日本法人経由の「抜け道」問題
重要土地利用規制法が2022年9月に施行されましたが、制度の隙間を縫った土地取得は続いています。最も問題視されているのが、日本法人を経由した実質的な外国資本による支配です。
政府の調査によると、重要施設周辺で外国人や外国法人による土地取得の54.7%を中国が占めています。しかし登記簿上の所有者が日本の会社でも、その株主が外国企業や個人である場合、外国資本として監視対象に入りにくいのが現状です。
北海道では中国やシンガポール企業が観光開発名目で広大な土地を取得する例が増加しています。水源地や農地近くの土地が含まれるケースもあり、将来的な水資源管理への影響が懸念されています。
株主構成の透明化が急務
今回の林地取得における国籍把握は一歩前進ですが、根本的な問題解決には程遠いとの指摘があります。外国資本による土地取得を効果的に把握するには、取得する法人の株主構成や最終的な実質支配者の調査が不可欠です。
現行制度では、日本法人が土地を取得する場合、その法人の株主が外国人や外国企業であっても把握が困難です。さらに複数の法人を経由した複雑な所有構造の場合、実質的な支配者を特定することは極めて困難になります。
諸外国では外国資本による土地取得に厳格な規制を設けています。アメリカでは外国投資リスク審査現代化法により、軍事施設周辺への投資に事前審査を義務付けています。フィリピンでは外国人による土地所有を完全に禁止しています。
包括的な法整備が必要
専門家は「外国人個人の国籍把握は必要だが、それだけでは不十分」と指摘しています。実効性のある対策には、取得する法人の株主構成、議決権保有状況、最終的な実質支配者の詳細な調査が必要です。
日本は世界で唯一、外国人がほぼ無制限に土地を取得できる国とされています。1994年のGATS(サービスの貿易に関する一般協定)加盟時に、他国が設けている外国人土地取得規制の留保条項を盛り込まなかったためです。
与野党からは包括的な外国人土地取得規制法の制定を求める声が高まっています。国土保全と安全保障の観点から、外国資本による土地取得の実態を正確に把握し、適切な管理体制を構築することが急務です。
農地や林地の個別対策も重要ですが、より根本的には外国資本による日本法人を通じた土地取得の実態把握と規制が求められています。今回の林地対策が真の実効性を持つには、株主構成の透明化まで踏み込んだ制度設計が不可欠です。