2025-10-16 コメント投稿する ▼
熊谷俊人・千葉県知事がSNS報道に事前承認要求、検閲批判受け撤回
一部を切り取り記事化するのは許可しないとSNSに掲載し、要約する場合は事前に承認を得てほしいと述べましたが、会見後の取材で検閲ではないかと思われたことは申し訳ないとして発言を撤回しました。 この発言は、知事というPublic Figureが報道機関に対して事前承認を求めるものであり、憲法で保障された報道の自由や表現の自由に抵触する可能性があるとして批判を浴びました。
事前承認を求める発言の経緯
熊谷氏はXやフェイスブックに、一部を切り取り記事化するのは許可しないと掲載しました。記者会見では、要約する場合はあらかじめ私の承認を得てほしいと述べ、原則として自身の許可を得る必要があるとの認識を示しました。この発言は、知事というPublic Figureが報道機関に対して事前承認を求めるものであり、憲法で保障された報道の自由や表現の自由に抵触する可能性があるとして批判を浴びました。
会見後の取材で熊谷氏は、報道の自由は理解しているとし、全体の趣旨と異なる形で記事化するのを遠慮してほしい趣旨だったと釈明しました。適切ではない、検閲ではないかと思われたことは申し訳ないとして発言を撤回し、掲載内容を速やかに修正する考えを示しました。
「知事が報道に事前承認求めるって、完全に検閲じゃないの」
「切り取り報道が問題なのは分かるけど、事前承認はやりすぎだよ」
「熊谷知事はいつも説明が足りない。今回もまた炎上してる」
「撤回したからいいものの、報道の自由への理解が足りなさすぎる」
「SNSで強いトーンで発信しすぎて、自分で自分の首を絞めてるよね」
過去にも問題視された強いトーン
熊谷氏はSNS投稿で踏み込んだ表現を用いるケースが目立ちます。2025年8月には、JICAが木更津市をナイジェリアのホームタウンに認定し、誤情報が拡散した問題で、公式情報を見て自分で理解してくださいなどと強いトーンで投稿し、批判を受けた経緯があります。
このホームタウン問題では、ナイジェリア政府が日本政府が特別ビザを創設するという声明を発表し、英国BBCなどの海外メディアも同様の内容を報じたことから、SNS上で移民受け入れではないかという不安が広がりました。木更津市には抗議が殺到し、職員が対応に追われる事態となりました。
熊谷氏は当初、SNS上でデマばかり呟くインプレッション稼ぎのアカウントの話には気を付けてくださいねと県民の不安を切り捨てるような投稿をしていました。しかし後日、ナイジェリア側の発信に日本側と齟齬があること、不安に思う方がいることを理解したとし、その点は私の認識が間違っていましたと謝罪しました。この時も県民への説明が不十分で、上から目線の対応が批判されています。
報道の自由と表現の自由
日本国憲法第21条は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障しており、第2項では検閲は、これをしてはならないと明記しています。最高裁判所は博多駅テレビフィルム提出命令事件で、報道機関の報道は民主主義社会において国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであるとし、報道の自由は表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにあると判示しました。
検閲とは、行政権が主体となって思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、発表前にその内容を審査した上で不適当と認めるものの発表を禁止することを指します。熊谷氏の発言は行政機関のトップである知事が報道機関に事前承認を求めるものであり、検閲に該当する可能性がありました。
熊谷氏は1978年生まれの47歳で、2009年に31歳で千葉市長に就任し、当時は全国最年少の政令指定都市長として注目されました。千葉市長を3期務めた後、2021年の千葉県知事選挙で歴代最多票数を獲得して初当選し、2025年3月の知事選挙で再選を果たしています。SNSを積極的に活用し、TikTokなども使いこなす若手政治家として知られていますが、今回のように発言が問題視されるケースも少なくありません。
報道機関が切り取り報道をすることへの懸念は理解できますが、それに対する対応として事前承認を求めるのは明らかに行き過ぎです。報道の自由は民主主義の根幹をなすものであり、行政のトップが報道内容を事前にコントロールしようとすることは、憲法の理念に反します。熊谷氏には今後、報道の自由への理解を深め、慎重な発信を心がけることが求められます。)