2025-11-27 コメント投稿する ▼
NHK学生受信料減免拡大検討 辰巳孝太郎の追及で会長が前向き表明
特に、親元から離れて一人暮らしをしている学生について、現行の「年収130万円以下」という免除要件が現実に合っていないのではないかとして、要件の引き上げを迫りました。 この問いに対し、NHKの稲葉延雄会長は、「消費者物価が上がっている今、学生の免除条件を130万円のままにしておくのはおかしい」と述べ、条件緩和に向けた検討を行う考えを示しました。
衆院総務委での質疑と背景
2025年11月27日、衆議院総務委員会で、NHKの受信料制度をめぐり、辰巳孝太郎議員(日本共産党)が問題を指摘しました。NHK側は今月、「受信料特別対策センター」を設置。受信料の未払い世帯や事業所に対し、支払い督促や民事裁判手続きの強化を進める計画とされています。報道では、「今年度下半期だけで、昨年1年間の10倍を超える規模で強化する」という方針が示されており、未払い者への圧力強化が大きな懸念となっています。
辰巳氏はこうした追及を踏まえ、「受信料未払いが増える背景には、物価高や収入減など国民生活の悪化がある」と主張。現在、受信料全額免除の対象となる世帯の枠を広げるよう強く求めました。特に、親元から離れて一人暮らしをしている学生について、現行の「年収130万円以下」という免除要件が現実に合っていないのではないかとして、要件の引き上げを迫りました。
NHK会長、学生免除基準の緩和に「検討」表明
この問いに対し、NHKの稲葉延雄会長は、「消費者物価が上がっている今、学生の免除条件を130万円のままにしておくのはおかしい」と述べ、条件緩和に向けた検討を行う考えを示しました。辰巳氏も「ぜひ拡大してほしい」と重ねて要求しました。
NHKの公式情報によれば、現在、学生の受信料免除の対象は大学、短大、一定の専門学校などに通う学生で、親元から離れて暮らしていることなどが条件のひとつとなっています。前年収入が130万円以下、あるいは親の扶養を受けているかを証明する書類などを添えて申請する必要があります。
この条件は少なくとも2023年以降も維持されてきたものですが、昨今の物価上昇などで、アルバイト収入がこの基準をわずかに超えてしまう学生も多く、「実質的に受信料を払わざるを得ない」という声も少なくありません。
免除制度の意義と制度疲弊への警戒
NHKの受信料免除制度は、ひとり親家庭、低所得世帯、学生など経済的に困難な世帯を支援するためのものです。特に学生にとっては、学費や生活費に加えて受信料まで負担となると、生活が圧迫されかねない重要なセーフティーネットです。これまで親元から離れて暮らす学生に限定されていたのは、扶養の有無や収入などを通じて本格的な経済困窮を判定するためとされてきました。
しかし、物価高やアルバイト時給の伸び悩み、パートタイム労働の不安定さなどが重なり、現在の基準では多くの学生にとって実情との乖離が生じている可能性があります。免除の対象を広げることは、若年世代の生活を支える観点からも重要です。
一方で、NHK側にとっては免除対象が拡大すれば収入減につながるため、軽々しく基準緩和に踏み切れない事情もあるでしょう。特に、未払い対策強化のため新たに設置した対策センターの存在は、収入確保への強い意志の表れでもあります。整理解雇や番組削減を伴わずに、この制度を維持できるかどうかは未知数です。
今後の展望と課題
今後、NHKが学生の免除基準をどこまで緩和するかは、多くの学生や若年層の生活に直結する重要なテーマです。たとえば年収基準の引き上げ、あるいは親元から離れて暮らすかどうかの条件の緩和、申請手続きの簡素化などが求められるでしょう。
ただし、制度の恒久的な維持には、収入構造の見直しも必要です。学生など低所得者を救済することと、NHKの公共放送としての役割と財政基盤のバランスをどう取るか。国や社会も含めて議論すべきです。
また、単に免除拡大を口にするだけでなく、若者の経済実態を踏まえた定期的な条件見直しや、申請漏れ防止の仕組みづくりが求められます。今回、条件緩和の「検討」が表明されたことは前進ですが、実効性ある制度改革につなげるためには、具体的な数値やスケジュールの公表が不可欠です。
受信料制度は公共放送の根幹だが、同時に弱い立場の人々を排除しない社会保障の一部でもある。今回の議論を機に、若年層にとって負担にならない「公平な制度」への転換を期待したい。